人事評価制度TOP > 人事評価制度の教科書 > コラム > ゼネラリストとスペシャリスト、どちらを目指すべきなのか?定義や役割も徹底解説!
2018-09-102019/07/04

ゼネラリストとスペシャリスト、どちらを目指すべきなのか?定義や役割も徹底解説!


  • ゼネラリストとスペシャリストはどちらが出世しやすい?
  • 転職する時にどちらが有利不利なのだろうか?

将来のキャリアプランと考えた時、ゼネラリストとスペシャリストのどちらになるべきか迷っている方は多いことでしょう。

ゼネラリストもスペシャリストもどちらも企業にとってはかけがえのない優秀な人材ながら、その仕事内容はガラリと異なります。また、出世や転職で有利不利があるのも事実です。

では、ゼネラリストもスペシャリストのどちらを目指すべきなのか?
そして、出世と転職で有利なのはどちらなのか?

本記事では、双方の定義や役割の違いを解説します。

ゼネラリストとは?

s-shutterstock_44802769

ゼネラリストとは、広範囲の分野について知識を持ち、さまざまな分野の担当者たちをまとめ上げる役割を担う人(総合職)を指します。「ゼネラリスト(Generalist)」という言葉は、「多方面の知識を持つ人」という意味です。

  • ゼネラリストは「広範囲の知識を持つ人」という意味
  • ビジネスでは「総合職」を指す場合が多い

例えば、映画監督などはゼネラリストの典型的な例です。カメラワーク、音響、照明、演技など、各分野の技術を総動員させて一つの作品を作り上げるには、あらゆる分野における豊富な知識がなければなりません。

ビジネスシーンでいうならば、プロデューサーやマネージャー、経営層、総務などがゼネラリストです。いわば、管理が主な仕事です。まとめあげる分野の全てにおいて長い経験を持っている必要はありませんが、より広範囲における深い知識を取得するために、各部署への異動や転勤を頻繁に行う例が多いでしょう。

スペシャリストとは?

s-shutterstock_72333085

スペシャリストとは、ある特定の分野において突出した知識や技術、経験を持つ人材を指します。ゼネラリストよりも、スペシャリストのほうが言葉として一般的なので、その仕事内容を容易に思い描くことができるのではないでしょうか。エンジニア、会計、営業、デザイナーなど、スペシャリストの仕事分野はさまざまです。

  • スペシャリストはその分野の専門職を指す

スペシャリストと似たような意味合いの言葉に、「プロフェッショナル」があります。

プロフェッショナルとは、自身の専門分野で生計を立てている人、そのうえで自らの仕事に誇りをもって働いている人を指します。つまり「専門職」のことです。

一方で、企業に属しているといまいとにかかわらず、スペシャリストという言葉は使えます。スペシャリストには、仕事に対する姿勢は意味に含まれていません。

ゼネラリストとスペシャリストの違い

ゼネラリストとスペシャリスト、いずれも企業に必要不可欠な人材であることに変わりはありません。企業にとって、また当人たちにとって、両者にはどのような違いがみられるでしょうか。仕事内容以外の違いをご紹介します。

スペシャリストはある程度まで出世しやすい

特定分野に関する深い知識、優れた技術、長い経験を必要とするスペシャリストは、経験を重ねれば重ねるほど、そして周りに認められるほど出世しやすいといえます。

例えば、営業成績がダントツでトップな人材がいれば「いずれあの人がヒラをいち早く抜け出して、課長になるのかな」とウワサされるのは確実でしょう。営業のスペシャリストであれば、その分野での出世がしやすくなります。

ただ、スペシャリストとして優秀なことと、人事管理に優れていることは必ずしもリンクしません。スペシャリストの中には、個人作業は得意でもチームをまとめることは苦手という人が少なくないため、出世しても課長どまりというケースも多いのが特徴です。

一方で、専門性にも優れ、かつ人事管理にも長けているスペシャリストは一目置かれ、チームのリーダーとして大きな仕事を任される可能性があります。技術や知識のレベルが申し分なく、人事管理もできる会社にとっては重宝したい人材です。

例えば看護師長は、マネジメント能力に長けたスペシャリストといえるでしょう。人をまとめあげる能力のある人がスペシャリストとして出世します。

ゼネラリストは上層部までの出世が見込める

ゼネラリストは広範で豊富な知識に基づき、現場を監督したりマネジメントを行ったりするのが主な役割です。よって、上層部までの出世が見込めるといえます。

「将来は経営層に食い込みたい」と考えているなら、ゼネラリストとして総合職や人事担当として採用されるのが近道といわれているのは、そのためです。経営層には、総合的な知識や経験が必要になりますから。

ただ、優秀なゼネラリストになる道は険しいものです。とくに大企業にはたくさんの専門分野があり、あらゆる分野の基礎知識を頭に入れるのは容易なことではありません。

また、肝心のマネジメント技術に長けていなければ、どんなに広範囲にわたる知識を持っていたとしても、ゼネラリストとしては立ち行かなくなってしまいます。ただ広範囲の知識を持っているだけでは、上層部まで出世するのは難しいでしょう。

たとえ将来のゼネラリストとして採用されたとしても、マネジメント能力がなかなか開花しない社員は、企業側から扱いづらい人材としてレッテルを貼られてしまいます。要職にもつけず、何かのスペシャリストになれず、中途半端にくすぶることにならないよう気をつけなければなりません。

ゼネラリストになりたいと考えたら、多大な努力、勉強が必要です。

ゼネラリストとスペシャリストはどちらが転職に有利?

スペシャリストは独立しやすい

スペシャリストは個人でも一定水準以上の仕事ができるスキルを身につけているため、独立が容易です。また、客観的な職能をはっきり示すことができるため、転職にも有利と言えるでしょう。

自分の腕一本で食べていける自信のある人は、スペシャリストからフリーランスとして独立しやすいです。フリーランスは自分の技術や知識を売って生計を立てるので、技術の高いスペシャリストならば独立しても食べていけるでしょう。

ただ、フリーランスは事務や経理といった業務まで自分でこなさねなければならないので、本業の作業だけに集中したいという方には向いていません。会社でスペシャリストとしての地位を確立しているのであれば、そのまま上を目指すした方がいい場合もあります。

ゼネラリストは転職に不利な場合がある

ゼネラリストは、マネジメントという客観的な評価が難しい分野を担っているため、転職したいと考えたときに困難を極める可能性があります。かなりの実績がないと、ゼネラリストからゼネラリストへの転職は難しいでしょう。もしかしたら、転職時に大幅な年収減となってしまうかもしれません。

フリーランスとして独立する場合、何かひとつでも特定の分野の技術や知識がないと生計を立てるのは厳しいでしょう。それならば、経営者として起業して幅広い知識を活かすことを考えた方が現実的です。

ゼネラリストは管理職向けなので、転職でキャリアアップを目指すから、経営者を目指すか、どちらが自分に向いているか考えてみてください。

ゼネラリストとスペシャリストのどちらを目指すべきか?

s-shutterstock_1161018682

自分に合っているのはどちらかを見極めるには

「自分には専門性がないが、マネジメントはやり甲斐がある」と感じている方は、ゼネラリストが向いているでしょう。マネジメントの経験と実績を積むことで、今いる会社での出世の道が拓けてきます。

会社にはゼネラリストとスペシャリストの両方が必要です。全員がゼネラリストでも、全員がスペシャリストでも会社はうまく回りません。

スペシャリストの割合が多く、技術レベルの高い人材が多い会社であれば、ゼネラリストになって管理職としての出世を目指すのもひとつの方法です。

「上の立場になっても現場に立って仕事をしたい」「技術を磨いて専門性を突き詰めたい」という方はスペシャリストに向いています。出世よりも技術を磨くことに重きを置く人はスペシャリスト向きです。

出世すれば人事管理もしなければならないので、どうしても現場に立つ機会が減ってしまいます。マネジメント業務はできるだけやりたいくない、今の職種で食べていきたいという人はスペシャリストを突き詰め、もし転職することになっても自分の腕で再就職先を見つけられるようにしましょう。

ただ、スペシャリストは仕事の需要がなくなるリスクもあるので、その点もよく考えてゼネラリストになるかスペシャリストを突き詰めるかを判断してください。

出世にも転職にも一番有利になるのは、専門分野を複数持つゼネラリストです。そうなるには並々ならぬ努力が必要ですが、出世でのキャリアプラン、転職でのキャリアアップのどちらの可能性も高めたいのであれば、専門性を高めつつマネジメントもできるように経験を積んだ方がよいでしょう。

出世するには総合的な能力が必要

以上のように、ゼネラリストのほうが最終的には多大な報酬と高い地位を得ることができますが、どれほど出世できるかは本人の腕や人脈、マネジメント能力次第です。

一方で、スペシャリストはある程度の出世は見込めますが頭打ちの可能性が高く、高い年収を欲したときには転職や独立を余儀なくされるかもしれません。需要が低下して転職が困難になるケースもあるので、将来性の考えてどの技術を突き詰めるかを考えておきましょう。

まとめると、双方の仕事の特色、メリットとデメリットを知り、自分がどちらに向いているかをきちんと見極めることが重要になってきます。向いていないことの時間を割いても出世が遅れてしまうので、自分の向き不向きを知ることも大切です。

また、職場で求められるままの仕事をこなしているうちに、自分でも知らなかった才能が開花するという例もあるかもしれません。人からの評価を素直に受け止め、得意な分野を広げていきましょう。

おわりに

転職や独立を考えればスペシャリストが有利ですし、上層部への出世を目指すならゼネラリストとして成功するのが近道です。将来、どんな道を歩みたいのか、夢を描きながら職能を選びましょう。

自分にはどんな道が向いているのか、身近な人に尋ねてみるのも判断の材料としては有効です。知り合いは、意外とあなたのことをよく見ているものですよ。


[最終更新日]2019/07/04

人事評価制度策定に役立つ各種テンプレート無料プレゼント

以下のフォームにご入力いただくと、ダウンロード用URLを記載したメールをお送りします。また、会社のビジョンを実現するための具体的実践例と成功のコツが満載の「山元浩二のメールマガジン」を月2回お届けします!

*
*
メールアドレス*
会社名*
役職*
業種

関連記事

カテゴリー

日本人事経営研究室の書籍

このサイトについて

日本人事経営研究室
日本人事経営研究室が運営する人事評価制度をメインテーマとしたブログです。「急成長をしてきたが、社員が増えるにつれて一体感がなくなり、成長率が鈍ってきた」「社員の不満が多く、離職率が高い」「主体性を持って働いてもらいたいが、みんなが受け身で待ちの姿勢…」といった悩みをお持ちではありませんか? そうした課題の解決に人事評価制度が役立ちます。人事評価制度は社員の給料を決めるためだけのものではありません。社員のモチベーションを高め、正しく成長し、やりがいを持って働いてもらうための経営の屋台骨です。「人事評価制度の教科書」では、効果的な人事評価制度の設計方法から、導入・定着までのノウハウを具体的に、わかりやすくご案内していきます。

人気の記事

最新記事

運営会社

人事評価制度策定に役立つ各種テンプレート無料プレゼント