人事評価制度TOP > 人事評価制度の教科書 > コラム > その人選、本当に適任ですか?中小企業がリーダー育成に失敗する意外な理由
2016-11-282017/08/22

その人選、本当に適任ですか?中小企業がリーダー育成に失敗する意外な理由


1人で始めた事業も、成功にともない大きくなると、社長だけでは全社員のマネジメントができなくなってきます。その際にはリーダー育成が重要になりますが、失敗している中小企業は少なくありません。中小企業がリーダー育成に失敗する意外な理由を解説します。

リーダーにしてはいけない人をリーダーにしているから

これまでの業務が一番デキる人をリーダーにしてはいけない

リーダーたる者、他の社員より優秀であるべき。そんな考え方から、トップセールスマンをリーダーに据えている企業は多いでしょう。しかし、現場で一番活躍する優秀な人材をリーダーにしてしまっては、組織全体の成長は望めません。

リーダーがトップセールスマンということは、求められる役割や成果は、自ずから「業績を上げること」になります。担当部署全体の業績を求められるわけですが、同時にトップとして一番大きな数値目標を背負うことになるでしょう。ここが問題なのです。

リーダーの頭の中は、自分に課せられた業績目標をどうやって達成しようかということで一杯になってしまいます。結果として、リーダーとしてやるべき仕事は後回しになり、必要な仕事が実行されず、指導者としての本人の能力も身につきません。

リーダーの役割は、組織を成長させること。リーダー個人に業績目標を与えず、組織全体の組織目標のみに変えましょう。そうすることによって、全体の目標達成のためにどうするべきかという視点をリーダーに持たせることができるのです。

業績はピカイチだけど、勤怠がルーズな人をリーダーにしてはいけない

何も言わなくても業績は申し分ない、技術はピカイチ、結果は必ず出してくれる。お客さんのためなら残業も厭わず、夜遅くまで仕事をして文句を言わない。しかし朝が苦手で遅刻の常習犯、営業時間中の所在は不明、会議に平気で遅れてくる……。こんな人材をリーダーにしていませんか?

「注意したり叱ったりすると、業績に影響するのでは」そう考え、優秀だけれどだらしないリーダーを野放しにしてしまっている会社が多いようです。しかし、社員はちゃんと見ています。周りの社員は、「業績さえ上げれば、少々のことは許されるんだな」と思ってしまうでしょう。

社会人としての基本マナーや最低限のルールを守れていない人を、組織のなかで許してはいけません。徹底して指導し、改善させるべきです。情意評価を強化し、クリアしない人はステップアップできないというくらいの重要度を持たせましょう。

会社の雰囲気は、お客さんにも何となく伝わります。ルーズなリーダーを放任しておくと、組織の体質や風土に必ず影響しますから、乗り越えるべき課題の一つと心得ましょう。

リーダー育成のための人事評価制度が整っていないから

shutterstock_425965804

「どんなにリーダー研修を行っても、ちっともリーダーが育っていかない」と頭を悩ませている社長はいませんか。リーダーを育てるために、一番重要なことを忘れていると考えられます。それは、人材を育成するための仕組み、「評価制度」のことです。

評価制度を確立し、徹底運用していけば、リーダーを成長させることができます。それは、評価制度を運用することで、次の3つの力をリーダーが身につけることができるからです。

1つ目は、観察力です。リーダーとして目標を達成するためには、さまざまな物事を観察し、適正な情報を収集する能力が必要です。ポイントを押さえて正しく物事を把握できなければ、成果につながるような戦略や施策は打ち出せません。リーダーが真剣に部下を評価することで、この観察力が養われます。

2つ目は、判断力です。いうまでもありませんね。正しい判断のもとに物事を決定していかなければ、誤った道を選んでしまうかもしれません。部下を事実に基づいて客観的に評価し、基準に基づいて判断することで、この判断力が養われます。

3つ目は、目標推進力です。統率する部門の目標を達成するのがリーダーの役割ですが、そのためには目標に基づいて部下の役割を決め、実現に向けて支援しながら進捗管理していかなければなりません。この目標推進力は、部下を評価し、さらに上のステップに行くにはどんなことに取り組めばよいかをアドバイスするたびに養われます。

評価制度を運用し、リーダーにしっかりと部下を評価し支援する役割を持たせれば、自然と3つの能力をアップさせることができます。リーダーは、部下を正しく評価していくうちに、だんだんリーダーらしくなっていくのです。

おわりに

ナンバーワンをただそれだけの理由でトップに据え、だらしなくても業績さえ上げれば誰も文句を言わない。そんな風土が会社をダメにしてしまうことを、おわかりいただけたでしょうか。営業能力と統率力は、比例するとは限りません。

ただ、一度リーダーにした人を降格させるのはなかなか難しいこと。評価制度をリーダー育成のためのものでもあると考え、きめ細かな評価を任せてリーダーにふさわしい能力を開花させてもらいましょう。繰り返し評価制度を運用するうちに、頼もしいリーダーが完成されていきますよ!


[最終更新日]2017/08/22

人事評価制度策定に役立つ各種テンプレート無料プレゼント

以下のフォームにご入力いただくと、ダウンロード用URLを記載したメールをお送りします。また、会社のビジョンを実現するための具体的実践例と成功のコツが満載の「山元浩二のメールマガジン」を月2回お届けします!

*
*
メールアドレス*
会社名*
役職*
業種

関連記事

カテゴリー

日本人事経営研究室の書籍

このサイトについて

日本人事経営研究室
日本人事経営研究室が運営する人事評価制度をメインテーマとしたブログです。「急成長をしてきたが、社員が増えるにつれて一体感がなくなり、成長率が鈍ってきた」「社員の不満が多く、離職率が高い」「主体性を持って働いてもらいたいが、みんなが受け身で待ちの姿勢…」といった悩みをお持ちではありませんか? そうした課題の解決に人事評価制度が役立ちます。人事評価制度は社員の給料を決めるためだけのものではありません。社員のモチベーションを高め、正しく成長し、やりがいを持って働いてもらうための経営の屋台骨です。「人事評価制度の教科書」では、効果的な人事評価制度の設計方法から、導入・定着までのノウハウを具体的に、わかりやすくご案内していきます。

人気の記事

最新記事

運営会社

人事評価制度策定に役立つ各種テンプレート無料プレゼント