昇進昇格制度の設計方法〜判断基準例を紹介:社員と業績を伸ばす人事評価制度つくり講座4

昇進昇格制度の設計方法〜判断基準例を紹介:社員と業績を伸ばす人事評価制度つくり講座4

今回は人事制度創りの最終回、【昇進昇格制度】の設計方法です。昇進昇格制度とは具体的にはどうしたらグレード(等級等社内での資格、職位)を上がっていけるのかという『昇進昇格基準』が中心になります。

まず、グレードをvol.010でお伝えしたように

M2部長クラス
M1課長クラス
L2係長クラス
L1主任クラス
S3中堅社員クラス
S2一般社員クラス
S1新入社員クラス
(SはスタッフLはリーダーMはマネージャーの略)
このS1、S2・・・を人事制度上の資格とします。

という設定をしたとして話しを進めていきます。

『昇格基準』とははS1→S2、S2→S3・・・・というように資格を上げていくためにはどうしたら良いかを具体的に定めます。また、『昇進基準』は役職を上げていくための基準です。今回はこのうち『昇格基準』について主にお話します。役職に関してはこの資格と連動させたり、させなかったりと会社の事情によって異なりますので『昇進』についてはまた別の機会にお話します。

では、『昇格基準』はどのように定めていったらよいのでしょう?人事制度上はやはり、評価結果が中心となります。他には次のような基準を設ける場合があります。

■昇格の判断基準例
(1)評価結果・・・・・・評価基準による評価結果を反映
(2)自己啓発・・・・・・通信教育や仕事に役立つ資格等をポイント制にしてある一定の基準をグレードごとに設定する
(3)能力条件・・・・・・会社や部門で必要能力があればそのクリアーを条件とする
(4)昇格試験・・・・・・試験の合格点数基準を設ける
(5)取締役会判断・・取締役会にて昇格か否かを判断する
(6)推薦制度・・・・・・所属長等の推薦を判断基準とする

この中で、例えば初めて人事制度を導入する会社が設けるのは(1)のみおよび(1)と(5)の併用というパターンがほとんどです。まず、自社にはどれが相応しいのか判断できない場合は(1)のみを作成してみてください。

では、評価結果をどう昇格に反映していったら良いのか?!具体的には複数評価期間の評価結果で昇格を決定していきます。

例えば、「直近2回の評価結果が(A,A)以上であった場合S1→S2へ昇格する」という具合です。これを各グレードに設定します。

この『昇格基準』を全グレードに設定すると、全社員が何年後にどのグレードに行けて給与はいくらぐらいになるのか具体的に解るようになります。このことで社員一人ひとりの将来の目標が明確になり、モチベーションへとつなげていけるのです。

また、通常は同時に『降格基準』も設けていきます。「同じく(D、D)以下であればS2→S1へ降格する」という基準です。もちろん、降格させるのが目的ではありませんがこれがないともし、ぶら下がり社員がいる場合そのまま居座ってしまう場合も考えれます。

導入当初はこの(1)の評価結果を反映さえる昇格基準さえあれば十分です。なぜなら、評価で育成を図っていくのが人事制度の目的だからです。また、あまり最初から複雑すぎると社員側が理解できない場合もあります。せめて(5)を併用するくらいにとどめておいて下さい。

さて、これで人事制度の3大骨子
・評価基準
・給与制度
・昇格制度
が出来上がったわけですが、当初お話したように人事制度の設計:運用は2:8で運用のほうが重要です。次回からはその運用部分で実際の教育や業績につなげるための事例を具体的にお話していきます。