「役職」に基づいた評価基準:人評価制度つくり方講座3

「役職」に基づいた評価基準:人評価制度つくり方講座3

前回は【評価基準】の考え方の切り口

(1)会社方針・戦略に基づいた内容
(2)役職に基づいた内容
(3)部署の課題、改善点に基づいた内容
(4)現状やっている仕事に基づいた内容

のうち(1)についての考え方についてお話しました。
今回は(2)をどうやって評価基準に落としていくかのお話です。
 
こんな評価基準をたまに見かけます。
全役職共通の評価基準です。
もっとわかり易く言えば、新入社員でも課長でも中堅社員でもみな同じ内容の評価基準で評価をしている会社があるのです。
 
本来は社内での役職やレベルによって仕事に要求される内容は違ってくるわけですから、このような全役職共通の評価基準では適正な評価はできないし、評価の目的である社員の育成なんて実現できるわけはありません。
 
役職に基づいた内容を評価基準に反映していくためにはまず、そのレベルを何段階に分けて求めていくかを明確にする必要があります。
 
これまでは【等級】(1等級、2等級・・・)という名称でその段階を設定する場合が多かったのですが、最近ではアルファベット等(S1、S2、S3・・・)で表現するケースも多くなってきています。
 
「じゃあ、一体何段階くらいのレベルを設定したらいいの?」ということになると思いますが、500人くらいまでの中小企業なら取締役未満のレベルは7~9段階あれば十分です。

それでも悩むようならまず、7段階に設定してください。その内訳はこうです。

M2部長クラス
M1課長クラス
L2係長クラス
L1主任クラス
S3中堅社員クラス
S2一般社員クラス
S1新入社員クラス
(SはスタッフLはリーダーMはマネージャーの略)このS1、S2・・・を人事制度上の資格とします。(今後は資格と呼びます)
 
中小零細企業ならこれくらいの段階で十分です。あまり多くの資格を設けてしまうと求める仕事内容もあいまいになってしまうのと、賃金が設定しにくくなってしまいます。まず7段階で評価基準を作成しながら、どうしても合わない場合はあとから増減させていけば良いのです。
 
資格の段階が決定したらそれぞれの資格に求められる仕事の内容を考えてみましょう。そしてそれを資格ごとに明記しておきましょう。もうお気づきの方も多いでしょうがこの資格が昇進昇格の骨格となります。

ここで、資格と役職とをリンクさせる(資格と役職を一致させるL1=主任というように)かどうかという疑問を持たれる方もいらっしゃると思います。
 
それはそれぞれの会社の状況によって変わってきます。
 
もし、あなたの会社が今後売上・組織規模を拡大し、役職のポストを増やしていけるのなら資格と役職をリンクさせるべきです。

 
また、あなたの会社が組織規模の拡大はほとんど行わず、役職者はこれ以上増やしていけないという状況だったら資格と役職はリンクさせるべきではありません。
 
もし、後者の場合に資格と役職をリンクさせてしまうと、実力が上がって十分上の資格のレベルなのにポストに空きがないため昇格できないということになってしまい社員のモチベーションの低下につながってしまいます。
 
さて、あなたの会社の昇進昇格のステップと求める仕事レベル、役割は明確になりましたか? 
次回は
(3)部署の課題、改善点に基づいた内容
(4)現状やっている仕事に基づいた内容
についてお話します。