「経営計画書」に「人材育成計画」が必要な理由:「経営計画書」策定のプロセス2

「経営計画書」に「人材育成計画」が必要な理由:「経営計画書」策定のプロセス2

さて、前回では
小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!(中経出版)』の中で、思いのほか好評だったのが「経営計画書」策定のプロセスで、私が提唱している経営計画書には二つの特徴がある、というお話をしました。
 
その特徴とは、
(1)A4ワンシートの中に経営計画書をまとめている
(2)人事評価制度改革プロジェクトに必要な人材育成計画も内容に盛り込んでいる
 
の2点でした。
 
今日は2点目の「人材育成計画が経営計画書に盛り込まれている」という特徴について、その重要性についてお話します。特に中小企業にとっては、人事評価制度を成功させる大事なポイントなのです。
 
小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!(中経出版)』をお持ちの方は、冒頭の『ビジョン実現シート®』をご覧ください。左下と中心下側にある、7、8、9の部分がこの人材育成計画になります。
 
一般的な経営計画書にはこの人材育成計画はほとんど盛り込まれていません。ではなぜ、人材育成計画が必要なのでしょうか?!
 
それは、ズバリ中小企業はこの人材の育成計画がないと人材が育たないからです。もう少し詳しく言うと、放っておいたら、会社が望む方向に人が育ってくれなくなるのです。
 
理由は二つ。一つは2:6:2の法則を克服するため。もう一つは人材育成のロスを防ぐためです。
 
みなさんも、2:6:2の法則はご存知だと思います。人間が集団を構成すると、「優秀な人が2割、普通の人が6割、パッとしない人が2割」という構成になるという法則です。
 
これが、人材育成に関しても当てはまるのです!どういうことかと言うと、組織は放っておくと、
 
2割 何も言わなくても自分で気づいて行動できる人
6割 気づいているが行動しない人
2割 全く気づかない人という状態になってしまうのです。
 
これを会社のビジョン実現に向けた行動で言いかえると、
 
2割 何も言わなくてもビジョンに向けて自分の目標と役割を明確に気づき自ら行動できる人
6割 なんとなく自分の役割は認識しているが、新しいことや面倒くさいことには自ら動き出さない人
2割 自分自身が何をやるべきか、全く認識できない人
 
ということになります。
 
このうちの下
8割の人たち、いや、せめて真ん中
6割の人たちだけにでも、行動してもらえばすごい組織になりますよね。
そのために、8「5年後の社員人材像」と9「ギャップを埋めるための課題」が必要なのです。
 
この人たちの中には、示しただけじゃ行動できない人もいますから、評価基準に落とし込み、行動しているかどうかを評価の度に何度も何度も毎回チェックし、行動するように促していく必要があります。
 
このように、「5年後の社員人材像」を明確にすることによって、放っておいたら行動しない、下8割の人たちを正しい方向に導き、行動させることができるのです。
 
また、8の「5年後の社員人材像」は、6の「経営戦略」を実行するために必要な人材レベルです。
 
成長してもらう社員たちにも、この人材像に向かって成長してもらわなければなりません。違う方向に向かって成長しても、「経営戦略」も実行できずに、ビジョンも理念も遠いものになってしまいます。
 
そして、社員一人当たりの業績への影響度が大きい中小企業ほどこの成長させる方向性を間違うと、大きなロスとなってしまうのです。