株式会社半田キャスティング | 人事評価制度の設計と運用のコンサルティング | 日本人事経営研究室株式会社

株式会社半田キャスティング 様

「ビジョン実現型人事評価制度®」で
確立した生産性と人材育成を
追求した組織づくり

取締役社長 加藤昌彦 様

株式会社半田キャスティング

代表:代表取締役 加藤昌彦
所在地:愛知県半田市川崎町4丁目1番地8号
創立:2007年2月
事業内容:鋳造品の製造・販売
従業員:118名

今回は、愛知県半田市の株式会社半田キャスティング様をご紹介します。
半田キャスティング様は豊田自動織機のフォークリフト用カウンターウェイトの製造を担う子会社として、2008年6月に創業されました。
組織再編によって行き場のなくなった元委託先企業の社員、リーマンショックの影響で豊田自動織機での継続雇用が困難になった期間従業員の寄せ集め集団としてはじまった会社でしたが、2015年に加藤社長が着任後、「ビジョン実現型人事評価制度®」を導入。さまざまな人事、経営面の課題に対して丁寧に向き合い、成果を上げてこられました。
今では、製造業において「ビジョン実現型人事評価制度®」で成果を上げ続けている企業の代表として、他のお客様から目標とされている存在となっています。ここに至るまでの導入~設計~運用までの軌跡をご紹介いたします。

コミュニケーションが皆無⁉
寄せ集め集団の実態

私が社長に就任した当初、まず直面した課題が3つありました。
1つ目は、挨拶がないのが当たり前。社員間のコミュニケーションが極端に少ない組織だったことです。朝、出社をしても社内で挨拶が交わされないことに驚きました。2つ目は、製造の現場では何よりも安全が重視されるべきなのに、「安全第一」ではなく、「製造第一」の組織体制になっていたことです。3つ目は、製造現場における意思決定者がおらず、現場で起こった課題の全てを社長の判断に委ねる社風であったことです。就任当時、毎月15件ほどの社内会議がありましたが、社長の私が全てに参加しなければ、ものごとが決定されない状態でした。

また、着任早々、昇格者に辞令を渡す機会があったのですが、現場の責任者に該当社員の昇格理由を聞いても具体的なものがなく、上司に気に入られているかどうかが昇格の理由になっているようでした。
当然のように、賃金体系も年齢、勤続年数、役職のバランスなど関係なくバラバラで、役職と賃金の逆転現象が起こっているケースも散見されました。

『これはいける!』
「ビジョン実現型人事評価制度®」との出会い

私は豊田自動織機時代に労働組合の書記長という立場から人事評価制度の設計に参画した経験がありました。ただし、その制度は人材育成に特化したもので、「評価と処遇」を一切結びつけない仕組みであり、当時から疑問をもっていたのです。この制度を今の状態の半田キャスティングに導入しても課題の解決には至らないだろうと感じていました。会社が仕組みとして、処遇の条件を社員に示せない状態が続くようなら、あと3年で組織が立ちいかなくなる…そう感じ、まずは独自に賃金制度を適正に設計することから着手しました。

当時、あさ出版の佐藤社長と縁があり、人事面、組織面の課題について話をしたところ、とても良いタイミングで、山元社長の書籍を紹介していただき、即購読しました。
直感的にですが、これまでの私の取り組みと考え方が一致していましたし、何より
・評価制度で人材育成を行い、組織として成果を出す
・貢献度に応じて処遇と連動した仕組み
であったことから、私が常々考えていた「成長したい」、「誰かの役に立ちたい」、「適正に評価されたい」、という人間の基本的な欲求を満たした人材育成の仕組みができると確信を得、日本人事経営研究室さんへコンタクトをとりました。

正直に言うと、当時の日本人事経営研究室さんは100名以上の組織のコンサルティング実績が少なかったこともあり、不安に感じる点もあったのですが、現在も弊社の担当である池尻さんとの面談を通じて、不安を払拭することができました。
 日本人事経営研究室さんのコンサルティングの進め方は、自分たちのやり方を押し付けるのではなく、会社の現状とビジョンに向かって最適な提案をしてくださるスタンスのため、スタート当時と変わらず、現在も全幅の信頼を置いています。

マイナスからのスタート!
徐々に揃っていく組織のベクトル

弊社では、人事、組織改革のプロジェクトとして、H&C(ハート&チャレンジ)プロジェクトと名付けました。
本プロジェクトの一番の課題は、現場のリーダーの教育だと感じていたため、役員・管理職以外の現場経験のあるメンバーを巻き込む必要があると考えました。そこで、以前、製造現場の経験もある人事総務課の石川裕芝をプロジェクトリーダーに任命。これは彼自身の成長も狙った一石二鳥の人選でした。

現場からは「自分の若いときにはやってくれなかったのに、なぜ今さら?」「お前がおれたちを評価するのか?」などの声が石川を通じて聞こえてきました。やはり「ビジョン実現型人事評価制度®」の「理念に沿った人材育成を通じて、会社と社員がともに豊かになる」という目的を浸透させることが組織改革を成功するうえで最も大切なのだと感じました。
弊社では、全社員が人事評価制度の目的を間違えないよう、常にベクトル合わせに重点を置いてプロジェクトを推進しています。

アクションプラン、評価制度、チャレンジシートの実践による育成支援だけでなく、半年に一度、日本人事経営研究室さんにリーダーへの評価者研修を依頼し、継続しています。現在では、評価者研修を楽しみにしているリーダーも多く、参加意識が明らかに変化しているのを感じます。また、研修参加者の発案により、リーダーによる評価基準の改善会議が仕組み化されるなど、製造現場が主体的に改善を推進できる組織になりました。
導入から3年、当初からの課題であった賃金体系についても適正な給与カーブの設計が完了し、評価制度に対する社員納得度が95.7%(十分納得できたは60.9%)を超えたことから、念願であった評価結果を社員の処遇へ反映することができました。

寄せ集め集団から
「半田キャスティング」という運命共同体へ

現在H&Cプロジェクトをスタートして5年が経過しましたが、着実に制度が定着してきていると実感しています。問題が発生しても自分たちで考え、対策を立案し、自発的に解決に向かう組織になりました。この成果は、私が想定していたよりもはるかに速いスピードです。

2019年の水害によって操業停止を余儀なくされ、その挽回の為に、4組4交替制をとり、過去最高の生産計画に対応できました。また、コロナ禍における世界経済の停滞により、フォークリフトの売上が半減し、カウンターウェイトの生産が40%以上落ち込んだ際も、「生産効率」を落とさないよう、3直24時間操業での3勤4休という変則勤務を実現できました。環境が激しく変化したとしても、現場のリーダーが意図を理解し、速やかに対応しながら結果が出せる組織になっていたのです。
製造社員の現場改善とスキルの向上によって、24時間体制でありながらも、残業はほぼなくなりました。出荷量も導入当初と比較して約1.3倍となり、不良件数も年間で約1/3に減少しました。
また、事務職社員も以前は20時前後まで会社に残っている状況が続いていましたが、今ではほぼ17時半に退社できており、製造部門との連携がうまくいっている証明だと思います。私は、家族との時間も人生の豊かさにおいて大切であると考えているので、この変化をとてもうれしく思います。 これは、各部門のリーダー達が中心となりH&Cプロジェクトを通じて成長してきた証拠だと確信しています。

一方で、今後の課題は、経営理念の浸透をより強力に進めていくことだと考えています。
経営計画発表会や各部朝礼での唱和だけでなく、評価基準の中で行動理念浸透のための内容をより具体的に盛り込むなど、改善を進めています。
過去の弊社であれは、リーダーが「部下全員が暗唱できるようになるなんて無理!」、「なんのためにやる必要があるのか?」という意見も出てきていたと思いますが、今は、「どうすれば行動理念が浸透するのか」を前向きに考えられる組織になりました。

永続的な仕組みとしての確立。
10年、20年後の未来のために

私が思う「豊かさ」とは、「自身の成長を実感しながら自身が世のため、人のためになっていると実感できること」「会社、上司、仲間から正当に認められること」です。その「豊かさ」を叶える方法を「ビジョン実現型人事評価制度®」を通じて仕組み化できたと思っています。
私が社長を退任した10年先、20年先も半田キャスティングの人材育成の仕組みとして永続的に運用を続けて欲しいと思っています。この仕組みの導入後、たくさんの人材がリーダーとして頭角を現しています。また、若手社員は、成長した彼ら先輩たちに憧れを抱き、国家技能検定に挑戦するなど、モチベーションをもって仕事に取り組んでいます。その相乗効果によって、「自分はもう歳だから…」と言っていたベテラン社員からも挑戦する人材が現れ、実際に50代での国家技能検定合格者も誕生しました。

私は、この仕組みの中で成長してきたリーダーたちが、幹部メンバーとして半田キャスティングの経営に参画してくることを期待しています。弊社は、組織の性質上、定期的に経営者が変わります。その中でH&Cプロジェクトを継続して実践、進化させ、半田キャスティングになくてはならない仕組みにしていくことが、私の使命です。
日本人事経営研究室さんには今後とも弊社を見守りながら寄り添い、10年、20年と組織成長のパートナーとして、長いお付き合いをお願いしたいと思っています。