あなたの会社は大丈夫?間違った給与の決め方から整合性のある給与制度へ移行する方法

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中小企業では、給与の決め方が間違ってしまっているケースが意外と多いです。間違った給与の決め方は3パターンあるので、あなたの会社がいずれかのパターンに陥っていないかを検証しましょう。

大事なのは、課題を明確にしたうえで、正しい給与制度へと改革を行うことです。本記事では、整合性のある給与制度への移行法をご紹介します。

中小企業に多い間違った給与の決め方3パターン

あなたの会社は、どんな給与の決め方をしているでしょうか。もし、次の3つのパターンのいずれかに陥っているなら、いずれ社員の不満が爆発してしまう可能性があります。では、確認してみましょう。

えんぴつなめなめ型

昇給や賞与のたびに、社長が独自の判断で社員全員の昇給額や賞与支給額を個別に、あるいは他社と比較しながら決めているのが、この型です。検討のたびに、社長が重視する成果や能力に応じて判断の根拠や物差しが変わります。

他者からするとどう見ても説明がつかない昇給、賞与額となることも多いのが特徴です。後継者やナンバー2の幹部でさえ違和感を覚えることがあります。

他社(者)依存型

中途入社した社員の給与や賞与を、前職で支給されていた金額をもとに決めているのが、この型です。その後の給与体系も、前職の金額が基準となります。

とくに昨今の売り手市場では優秀な人材を中小企業で確保しづらいため、自社の標準より高い前職の給与を保証する条件で入社してもらうケースも出てきているようです。

社員間の整合性がなく、また格差が埋まらないため、他の社員の不満につながる危険性があります。また、他社(者)依存型とは違いますが、担当する職種などが未経験の場合、標準よりも低い金額に設定する事もあります。この場合は入社後、優秀な仕事ぶりで成果を上げ、会社に貢献したとしても勤続年数が長い同年代の社員を追い越すことができないため、中途入社組のモチベーションも低下しかねません。

事なかれ主義型

「前回の昇給額が●●円だったから、今回も同じ額を確保しよう」など、過去の昇給額や賞与額を基準として決めるパターンです。「前回の金額を下回らなければ不満はないだろう」という事なかれ主義的な発想にもとづいています。

前回の金額が最大の判断基準となるので、とくに昇給に関しては前回より少しずつ上がっていく「積み上げ型」となる場合が多いです。貢献度が高い優秀な社員がいても、もともと給与が高い人との差が縮まりにくく、将来像が描けずに若い世代が流出してしまう恐れがあります。

整合性のある給与制度へ移行する方法

上に紹介した3つのパターンは、いずれも会社の基準、ルールとはいえません。何より、社員にそのルールを示すことができないですし、金額の根拠も説明できません。

こうした一貫性のない基準をもとに決められている給与は、次のようにすれば新しい給与体系へスムーズに当てはめていくことができます。

社員全員のグレードを決める

社員の実力や役割をもとに、全員のグレードをまずは設定しましょう。ポイントは、「本人に求めたい仕事レベル」のグレードに設定することです。現状できていなくても、任せればそのレベルの仕事をこなせるであろうという期待のもとに、グレードを決めていきます。

より高いレベルの仕事を求めることになるため、いったんは評価が下がってしまう恐れがあります。しかし、実際に運用するより前に「トライアル評価」を行い、調整していけば、社員の不満やモチベーションの低下は防ぐことができるでしょう。

「名ばかり役職」を整理する

中小企業にありがちなのが、「昇進に足る能力がないが、社長は昇進させたい」という矛盾を解消するために生み出される「名ばかり管理職」です。「副部長」「部長代理」「次長」「課長補佐」などなど。こうした役職は、統合・整理するのが理想です。

整理するときには、役職を外される社員に「降格ではない」と理解させ、社内でも周知することが重要です。また、組織上できちんと役割が確立され、社員育成のステップとして必要なものは新たなグレード体系に組み入れましょう。

「専門職ライン」を置く

中小企業では、部署やチーム全体のことを行ったり、部下の育成をしたりすることに不向きな人が役職者となっている場合があります。担当業務で優秀な成績をおさめることができても、リーダーの役割はほとんどこなせなかったり、在籍年数や年齢が上というだけで役職者となっていたりする人が多いためです。

スキルが優れていてもリーダー向きではない社員は役職から外す必要がありますが、そうなると昇格するのが難しくなってしまいます。そこで、「専門職ライン」というグレードを設けるのがおすすめです。「マネジメントライン」と「専門職ライン」を設けることで、それぞれの得意分野を活かして仕事ができ、かつ昇給していくことができるようになります。

社員一人ひとりの支給項目別金額を設定する

全社員のグレードが決定したら、個別に給与支給項目ごとの金額を決めていきます。上位グレードから順に決めていきましょう。

もしも、新しいグレードに当てはめたとき、それまでの給与が「もらいすぎである」ことに気づいたら、その人についてはオーバー額を「調整給」に振り分けるのがおすすめです。急に給与が下がってしまっては、本人も納得しないでしょう。

調整給をそのまま残すか、もしくは減額して支給するかは、きちんと検証する必要があります。なぜグレードの上限を上回る金額となったか要因を明確にしましょう。あまりに調整給がたくさん出る場合には、グレードの基本給そのものをアップさせる必要があるでしょう。

社員のやる気を高める賞与の決め方

賞与についても新たに基準を設定していきましょう。賞与とは、会社の業績に応じてその支給総額が決まり、社員の評価結果によって分配され、支給額は毎回変動するものです。まずはこの考え方が社員全員にきちんと理解されるまで、繰り返し伝える必要があります。

なぜなら、この基本の考え方がわかっていない社員が意外と多いからです。「賞与は社長の独断で決まるもの」「賞与額は上がるが、下がることはない」といった理解をしている人がけっこういます。賞与に対する考え方を、まずは叩き込みましょう。

賞与の総支給額を決めるルール

賞与を決めるには、業績指標を決め、指標からどうやって支給総額を算出するか決める必要があります。経常利益、営業利益、粗利益額などに、賞与として還元するパーセンテージをかけて算出します。

社員に一番説明しやすいのが、「経常利益の4分の1、すなわち25%を賞与として分配し、社員に還元する」という決め方です。その根拠は、確保した利益を「社員に還元」「将来への投資」「納税」「会社に残す」の4つに分配するという考え方によります。また、目標達成率から賞与額を決める算出方法もあります。

賞与を社員全員に分配するルール

社員それぞれの賞与支給額は、「賞与ポイント」×「ポイント単価」で算出します。「賞与ポイント」は、グレードと評価結果から一人ひとりのポイント数を決め、ポイント単価は、賞与支給総額を全社員のポイント合計額で割って算出します。

すると、会社の業績と自分の評価の2つの要素で賞与額が決まります。つまり、社員全員で頑張って会社に業績が上がれば支給総額は増え、個人の支給額もアップしますが、自分だけ評価が良くても会社全体の業績が悪ければ、支給額に影響してくるのです。

こうした考え方を導入することで、チームで頑張ろうという風土が社内に生まれ、会社の業績に貢献したい気持ちが高まります。全社員が全体の最適性を考えて動けるような風土を作るのです。

賞与支給基準の移行調整期間を設ける

新しい方法をスタートするときには、必ず移行調整期間を設けましょう。完全移行できるまで、調整を行いながら支給額を決定する移行措置を取り、一人ひとりの支給額を前回と比較しながら、大きな不満のないように調整していくのが理想です。

移行調整は1~3回程度行います。新しい基準と考え方を十分理解、浸透させたうえで完全移行を行いましょう。

詳しくは、自著「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」を参考にしてください。本記事でお伝えできなかった部分も詳細に書いています。

小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方

おわりに

賃金制度の刷新は、大規模な改革です。社員の年収がどうなるかについてあらかじめシミュレーションをしておき、給与については調整給などを活用して、初めは現行の金額と大きなギャップが出ないよう工夫しましょう。「年収が大きく下がった。生活をどうしてくれるんだ」などといった大きな不満を出さないことが、スムーズなスタートへの第一条件です。

業績の伸び悩みや優秀な社員の流出が大きな課題となっている会社ほど、賃金制度にメスを入れる必要があります。まずは前回までの賞与額や現行の賃金制度が適正なものかどうか、社長と幹部、そしてリーダーとともに検証することをおすすめします。

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