賃金制度の本当の役割、社員を成長させる賃金制度の作り方

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  • 賃金を上げても社員のモチベーションが上がらない…
  • 賃金以外で社員のやる気を上げる方法を知りたい

本記事では、こうした賃金制度の運用に関する疑問にお答えします。

賃金制度は、社員のモチベーションを高めるためだけにあると考えていませんか。もちろん、それも重要ですが、賃金制度にはもっと大切な、真の役割があります。本記事では、社員を成長させる賃金制度の作り方についてご紹介します。

なお、本文を読む前に以下の記事をお読みいただくと、より理解が深まります。

社員も組織も破壊する賃金・人事評価制度の誤った常識

賃金制度の本当の役割

賃金制度の本当の役割とは、「貢献度」と「成長度」を見える化することです。具体的な役割は、2つあります。

ひとつは、「経営計画」に対する社員の貢献度を金額にするという役割です。社員がお客さまや会社に対してどれだけ貢献したかが、評価結果で明確になります。この貢献度を金額にしたものが、賃金だといえるでしょう。

もうひとつは、社員の成長度を見える化する役割です。評価制度で「経営計画」の実現に向け、社員を育成していき、この評価を通じた一定期間の成長を昇給や賞与の増加額として社員に還元します。いわば、「賃金」は社員一人ひとりの「成長のバロメーター」なのです。

【賃金制度の2つの役割】

  • 「貢献度」を見える化する
  • 「成長度」を見える化する

社員を成長させる賃金・給与制度の作り方

社員を成長させるための賃金・給与制度は、4つのステップで作成することができます。順を追ってご案内しましょう。

ステップ1:「グレード」の段階数を決める

給与額やそのルールを決める前に、グレードの段階数を決めましょう。グレードの段階数を決めるときには、次の2つの目的を意識することが重要です。

一つは、社員の成長の質とレベルを高めること。もう一つは、会社の5年後のビジョンと目標が達成できる組織をつくることです。

「スタッフステージ(一般社員)」「リーダーステージ(管理職ではないリーダー)」「マネジメントステージ(管理職)」の3つのステージを意識して、それぞれのグレードに求める仕事レベルを設定します。社員の成長のプロセスを具体的にイメージし、そこにグレードを当てはめていきながら決めましょう。

【3つのステージごとにグレード数を設定】

  • スタッフステージ…一般社員(役職なし)
  • リーダーステージ…管理職ではないリーダー(主任・係長など)
  • マネジメントステージ…管理職にあたるクラス(課長・部長など)

ステップ2:各「グレード」の給与を決める

次に給与の金額を決めていきます。各グレードの基準額をざっくり理想の金額に定めてから、細かくシミュレーションし、調整していきましょう。各グレードの基準額を設定したら、グレード間の金額の差額も出してみます。

ちなみに、上位グレードに行くほど差額が大きくなっていたほうが、このあとの賃金テーブルを設計しやすくなります。その理由は2つあります。

一つは、上位グレードに昇格あるいは昇進したほうが、下位グレードに昇格するより大きな昇給額にできるため。もうひとつは、上位職のほうが評価結果による差額を大きくしたいからです。

ステップ3:役職手当を決める

次は、「役職手当」の金額を決めます。まずは、各役職に求めるレベルをもとに、金額をざっくりと決めてみましょう。時間外手当などを含めたときに、非管理職の給与が管理職を上回る逆転現象が起こらないよう気をつけてください。

なぜなら、労働基準法上の管理監督者は、時間外手当の支給対象から外れてしまうからです。管理職に昇格すると、仕事に対する責任の重さや範囲が広がるにもかかわらず、毎月の手取り額が下がってしまうとなったら、誰も管理職を目指したいとは思わないでしょう。

とくに、これから会社の中核を担ってほしい若手社員が「管理職に魅力がない」と実感することは、会社にとって大きな損失です。

ステップ4:基本給を決める

グレードごとの標準金額を、「本給」「仕事給」「役職手当」の3つの支給項目に分解します。本給と仕事給を合わせて「基本給」としましょう。

本給は、勤続給的な性格を持った、積み上げ型の支給項目です。評価結果に応じて定期的に昇格します。

仕事給は、評価結果に基づいて、成果や貢献度を直接反映させる支給項目です。評価結果が上がれば金額が上がり、評価が下がれば金額も下がることになります。役職手当は、役職に応じて一律の金額を決めて支給する手当です。

難しいのは、本給と仕事給の比率を決めることでしょう。本給の比率が多ければ、勤続給的な意味合いを重視し、評価がダイレクトに反映されるウエイトは比較的小さくなります。仕事給の比率が大きければ、貢献度が給与に大きく影響する賃金体系に。ここに会社の考え方が表れ、社員にも意図が伝わります。

以上4つのステップは、それぞれのグレードレベルにどんな仕事内容を任せ、どんな成長を期待しているのかを示す「グレード・レベル・イメージ」を設定するとスムーズに進められます。自著『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』に詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方

社員のやる気を引き出す賃金制度の運用方法

新しい給与を運用していくとき、「本給」「仕事給」それぞれに分けて考えるとわかりやすくなります。順に説明しましょう。なお、「役職手当」は各グレードの固定給ですから、説明は省きます。

本給の運用方法

本給は、1年に1回昇給します。昇格、降格した場合はグレードが変わるので、「本給」も変わる場合があります。改定時期は決算月の翌月とし、毎年一定額が加算されていくのが原則です。

本給昇給額にはグレードごとに上限を設け、在籍年数の長い人には、新たなグレードに上がれば毎年昇給することをアピールしましょう。こうして、各社員の成長を促します。

仕事給の運用方法

仕事給は半年ごとに改定するのが最も一般的です。決算月の翌月、半期終了月の翌月がいいでしょう。

仕事給は評価のたびに下がる可能性がありますから、年1回だけの改定だと社員のモチベーションに影響します。半年後には挽回できる仕組みのほうが、士気を下げずに運用できるのです。

正しい賃金制度の運用の仕方を学ぼう

以上のように、賃金制度は経営計画にのっとり、貢献度と成長度に応じて設定することが重要です。

そしてもう一つ肝心なのは、社員全員が給与体系にアクセスできるようにしておくこと。評価者の主観だけで給与が決まるのではなく、きちんと詳細な給与体系にのっとって決まるとわかれば、社員は安心し、不満が出ることはありません。

それどころか、「このくらい頑張れば、●万円給与が上がるのだ」ということが見える化するため、各々の目標給与を達成するためモチベーションはおのずと高まるでしょう。賃金制度を明確にし、公正平等に運用していれば、上層部への信頼度もアップしてきます。

おわりに

小さな会社の生産性を上げるには、的確な賃金制度の設計が大事になります。しかし、賃金制度の導入手順や運用方法を誤ると、逆に社員のモチベーションを低下させ、ひいては生産性を下げる要因につながってしまう危険性をはらんでいますから、注意が必要です。

本格的な賃金制度導入の前に、会社の生産性向上に取り組んでおきましょう。言わば、生産性を上げる仕組みづくりが、賃金制度を運用するためのエネルギーになります。そして給与の公平性に十分に気をつかい、社員の理解と共感を得、成長し続ける組織づくりに取り組んでいきましょう。

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