評価者研修は最低でも3回は実施しよう!トライアル評価のポイント|人事評価制度・賃金制度のノウハウ | 日本人事コラム

評価者研修は最低でも3回は実施しよう!トライアル評価のポイント

評価者研修は最低でも3回は実施しよう!トライアル評価のポイント

部下等を評価するためのスキルを獲得する評価者研修は、トライアル評価によって行うのがベストです。実際に評価を実施しながら、評価者を一定のレベルになるまで教育できるトライアル評価のポイントを解説します。

評価者研修(トライアル評価)の目的

まずは評価者研修としてのトライアル評価の目的を確認しておきましょう。

トライアル評価の目的は以下の3つです。

  • 「評価に慣れてもらう、評価スキルのアップ」
  • 「評価基準の内容と評価結果が妥当かどうかの検証」
  • 「賃金に反映した結果が妥当かどうかの検証」

トライアル評価とは、評価者(リーダー)が部下を納得させ、やる気を引き出せる評価が行えるようになるために実施する練習評価です。通常の評価と同じやり方で実施しますが、給与や賞与、昇格などに結びつけない点が、本番の評価と違います。

なぜトライアル(練習)評価が必要なのか

トライアル評価は、本番評価の準備運動をするために必要です。リーダーは、実務のスキルはトップレベルであっても、評価をする側としての教育は受けていないことが多いでしょう。このようなレベルのリーダーたちに、部下が納得するような評価を行ってもらうためには、評価のやり方を徹底して教育、訓練していかなければなりません

しかし、机上の評価者研修のみ実施して、本番の評価で「適正に評価しろ」と求めるのは、新人教育で2~3時間の営業研修を受けさせて「実績を残せ」と言っているのと同じレベルです。トライアル評価を行えば、決して企業の評価者研修では得られない気付きや改善点が得られます。

もしもトライアル評価を行わなければ、どうなってしまうでしょうか。評価者であるリーダーは評価のスキルを得られないまま部下の評価を行い、それにより評価結果に納得がいかない部下の不満が高まっていくかもしれません。社員の不満が高まれば、人事評価制度の運用を続行することが危ぶまれます。こういった危険性については以下の過去記事にも詳しいので、参考にしてください。

中小企業で人事評価制度運営が失敗する3つの理由

評価者研修は最低3回は実施する

評価者研修としてのトライアル評価は、最低でも3回は行います。それぞれ重点項目が違いますので、以下に気をつけましょう。

1回目の評価者研修で評価の全体像を把握

まずは、適正な評価判断の「物差し」を全評価者が理解するために、評価者研修をスタートします。評価者として必要な心構えを把握、評価技能を習得させて、評価者間の判断基準レベルの統一を図りましょう。

実際には、育成面談を通して各社員の目標や役割を設定し、評価を行うという評価者の役割をきちんと伝えます。ここがきちんと運用されていると「社員のスキルアップ」「成長」につながり、さらには経営目標達成につながっていくことを強調します。

また、評価は「人」ではなく、あくまでもその人が行った「仕事」の取り組み方や成長度合い、結果について判断することを示し、余計な先入観や感情抜きで評価できるよう指導しましょう。さらには会社の判断基準について徹底し、誰が評価をしても同じ結果になるようにします。

2回目の評価者研修ではやる気を引き出す育成面談方法を伝授

2回目の評価者研修では、育成面談研修を中心にします。育成面談は部下の成長支援の場であり、評価制度運用のプロセスの中で非常に重要な位置づけにあります。

育成面談は、「まず評価結果を伝えて納得してもらう」「次の目標を共有し、モチベーションを高める」の2ステップで行います。部下の仕事ぶりはドライに判断する必要がありますが、面談はウェット(情を込めて、本人のことを思って)行います。客観的に下された評価であればこそ、部下に納得してもらうことができますし、評価者の温かな励ましによって「次も頑張るぞ」という気持ちを部下に植え付けることができるのです。

具体的な育成面談の進め方、面談シートの作成方法は、以下に詳しいので参考にされてください。

面談の成果が高まる!部下との信頼関係を強固にする「面談シート」の作り方

3回目の評価者研修では賃金額や昇給・賞与原資の妥当性を把握

3回目には、いよいよ昇給によって変わる給与の仕組みについて詳細を把握してもらいます。評価者らに「自分が評価を下すことで、被評価者の給与や賞与はどのように変化し、その原資はどうやって得られるのか」を学んでもらうのです。

評価基準や評価スキルだけではなく、会社の資本の循環について学ぶことで、経営者視点を少なからず身につけられます。3回目のトライアルが終われば、より一層身を引き締めて評価に当たる姿が見られるでしょう。

評価期間は四半期で設定する

評価期間は半期ごとという会社が多いですが、当社のクライアントでは、3ヶ月ごとに評価を実施しているところが70%を超えています。3ヶ月ごとに評価を実施する理由は3つあります。

評価の納得性

あなたは、半年前の部下の仕事ぶりをどのくらい思い出せますでしょうか。半年ごとの評価だと、直近の出来事に判断理由が片寄ってしまい、部下が納得するような公平な評価ができなくなる恐れがあります。

モチベーションの維持

評価が下がり、賃金が下がると、モチベーションに影響します。半年ごとの評価であれば、半年間はずっと下がった賃金のままで仕事をしなければなりません。これがモチベーションの低下につながります。3ヶ月ごとであれば「すぐに挽回できる」と思わせることが可能です。

育成のスピード化

「評価」は、「社員を育成する機会」です。その機会は多いほうが、さらに成長が早まります。「評価」を行い、「育成面談」で社員の納得度とやる気を高め、「目標・役割の設定」を行うことで次の成長の場を設ける。この3つの評価プロセスを回しながら、社員の成長スピードを早めていきましょう。

おわりに

トライアル評価が、評価者研修としていかに有効かがお分かりいただいたでしょうか。トライアル評価は、本番評価のいわば予行演習です。

机上の研修だけでなく、実際に評価を行う実習を交えることで、リーダーは評価者として成長していきます。「リーダーが育たない」と悩むなら、実習としての評価者研修であるトライアル評価を、ぜひ活用してみませんか

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である「【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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