社員が納得する賞与(ボーナス)の査定ルール/賞与支給基準のつくり方

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  • 賞与を支給しているのに社員のモチベーションが上がらない…
  • 賞与の査定ルールや支給基準はどうやって作ればいい?

本記事では、こうした賞与に関する疑問にお答えします。

業績が厳しいなかでも、社員のモチベーション維持のため賞与を支給しているという中小企業は多いでしょう。しかし、賞与を支給しても一向に社員のやる気がアップせず、逆に不満が出てきてしまい困っているという悩みはありませんか。本記事では、社員が納得する賞与(ボーナス)の査定ルール・賞与支給基準のつくり方を解説します。

社員は賞与査定に納得していないかも?

賞与査定については業績や成果に応じて支給する賃金という考え方が一般的で、支給額に差をつけている中小企業も比較的多く見受けられます。しかし、格差がついているからこそ不満の種につながる危険性もはらんでいます。

社員の理解や納得感が得られている会社の方が少ないというのが、現実かもしれません。なぜ賞与でモチベーションが上がらないのか、それには次の3つの理由が考えられます。

賞与の位置づけと考え方が正しく認識されていない

賞与の査定額は、業績などに応じて会社側の経営判断で決めることができます。一方で、社員側は「賞与は業績や自分の成果に関わらず、一定額が確保されている」という認識を持っている場合があります。主な理由として、会社が正しく賞与の位置づけを伝えていないこと、社員側が賞与ありきの生活設計を行っていることが考えられます。

そこで、会社はまず社員に賞与の考え方を正しく理解してもらう必要があります。「賞与とは、会社の業績に応じてその支給総額が決まり、社員の評価結果によって支給額が変動する」と定義し、社員に周知しましょう。

賞与のルールが明確にされていない

賞与に格差をつけていても、その基準をあらかじめ明確にしていない、基準があってもその通りに支給額を決めていない会社があります。いまだに社長が「えんぴつなめなめ」して一人で全社員の査定や支給額を決めている場合などもそれにあたり、中小企業には意外と多いものです。

こうした社長の中には、「社員の賞与を決めるのはトップの重要な仕事」と考える方も多いようですが、それは大きな間違い。もちろん最終決定権者はトップですが、評価はリーダーの役割です。評価を任せることで、リーダーが育っていきます。きちんと賞与支給基準を定め、社員全員に説明したうえで就業規則にも明記し、仕組みを確立しましょう。

評価とその結果を本人に伝える面談が行われていない

賞与に差をつけるためには、その根拠が必要です。根拠となるのは評価であり、評価結果とその判断理由をきちんと本人に伝えていれば、賞与査定にも納得がいくでしょう。しかし、実際にはどうでしょうか。伝えていない会社が多いのが現実ではないでしょうか

評価結果と判断理由を本人に伝え、評価に基づいて支給額を決めていくという仕組みと手順を、毎回行えば、社員の賞与に対する不満や疑問は確実に減っていきます。その結果、納得度が向上し、ひいては仕事に対するモチベーションが向上するきっかけになるでしょう。

まず「経営計画」と「評価制度」の構築・運用体制を整える

評価制度をしっかり確立し、評価に対する納得度を高めましょう。そのうえで、ルールに基づいて賞与の支給額を決定することが大切です。

ただし、賞与のルールや基準だけを整えようとしても、会社としてのビジョンや評価基準が明確でないとうまく機能しません。まずは「経営計画」と「評価制度」を構築し、運用体制を整えましょう。それぞれ説明します。

「経営計画」を作成する

まずは、「経営計画」の作成です。会社の将来像と、それにつながるプロセスを明確にしなければ、社員にどう動いてもらえばよいのかが見えてきません。どう動いてもらえばよいのかわからなければ、社員の働きをきちんと評価できないでしょう。きちんと評価できないまま賞与を支給しても、社員はそれが自分のどんな働きを受けての対価なのかがわかりません。

「経営計画」は、会社がどう動いていくかを決める核であり、土台となるものです。5年以上先までの数値目標を立て、またそこへたどり着くまでの戦略を具体化し、そこへ人材育成計画を盛り込んでいきます。

「評価制度」を構築する

「経営計画」ができあがったら、次は「評価制度」の構築です。「経営計画」に沿って、社員一人ひとりの役割を落とし込んだ評価基準を作成していきます。人材育成計画を参照しながら、社員にどう動いてもらいたいか、そのためにはどんな評価基準を盛り込めばよいかを考えましょう。

「評価制度」というと「社員の優劣をつけるためのもの」というイメージを持たれがちですが、こうした認識は誤りです。「評価制度」は、「経営計画」に基づく経営戦略を社員に実行させながら、会社が求める人材像に育成する仕組みです。明確な評価基準を作れば、賞与支給額はおのずと決まります。社員本人にも仕組みを明示すれば、納得度は高まるでしょう。

制度の運用体制を整える

制度は作成するより運用し続けていく方が難しいといえます。そこでおすすめしたいのが、「経営計画」を1枚の「ビジョン実現シート」にまとめるやり方です。「人材育成計画」もこのシートに盛り込みます。1枚のシートに見える化すれば、会社の将来像がたちどころにわかります。社員らにも意識、浸透させやすくなるでしょう。

ビジョンを共有したうえで、PDCAの手法にのっとり、制度を運用していくことが大事です。「ビジョン実現シート」を活用した「ビジョン実現型人事評価制度」の運用については、次の記事でまとめています。参考にしてください。

ビジョン実現型人事評価制度・経営計画書の作り方総まとめ

社員が納得する賞与支給基準のつくり方

「経営計画」と「評価制度」の構築・運用体制を整えたうえで、賞与支給基準を作成しましょう。賞与は、次の2つの要素についてルールを定めます。「賞与の総支給額を決めるルール」と、「総支給額を社員全員に分配するルール」です。それぞれ説明します。

賞与の総支給額を決めるルール

賞与を決めるには、業績指標を決め、指標からどうやって支給総額を算出するか決める必要があります。経常利益、営業利益、粗利益額などに、賞与として還元するパーセンテージをかけて算出します。

社員に一番説明しやすいのが、「経常利益の4分の1、すなわち25%を賞与として分配し、社員に還元する」という決め方です。その根拠は、確保した利益を「社員に還元」「将来への投資」「納税」「会社に残す」の4つに分配するという考え方によります。また、目標達成率から賞与額を決める算出方法もあります。

総支給額を社員全員に分配するルール

社員それぞれの賞与支給額は、「賞与ポイント」×「ポイント単価」で算出します。「賞与ポイント」は、グレードと評価結果から一人ひとりのポイント数を決め、ポイント単価は、賞与支給総額を全社員のポイント合計額で割って算出します。

すると、会社の業績と自分の評価の2つの要素で賞与額が決まります。つまり、社員全員で頑張って会社に業績が上がれば支給総額は増え、個人の支給額もアップしますが、自分だけ評価が良くても会社全体の業績が悪ければ、支給額に影響してくるのです。

こうした考え方を導入することで、チームで頑張ろうという風土が社内に生まれ、会社の業績に貢献したい気持ちが高まります。全社員が全体の最適性を考えて動けるような風土を作るのです。

賞与支給基準の移行調整期間を設ける

新しい方法をスタートするときには、必ず移行調整期間を設けましょう。完全移行できるまで、調整を行いながら支給額を決定する移行措置を取り、一人ひとりの支給額を前回と比較しながら、大きな不満のないように調整していくのが理想です。

移行調整は1~3回程度行います。新しい基準と考え方を十分理解、浸透させたうえで完全移行を行いましょう。

詳しくは、自著「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」を参考にしてください。本記事でお伝えできなかった部分も詳細に書いています。

小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方

おわりに:賞与の定義が理解されるまで繰り返し伝える

賞与の定義が社員全員にきちんと理解されるまで、賃金規定や賞与査定基準などにも盛り込み、繰り返し伝えていく必要があります。そして、支給総額がどのように決まり、どんな基準と評価結果で分配されるのか、あらかじめルールを示し、支給後も社員全員に説明していくことが重要です。

これらが徹底され、さらに評価制度が適切に運用されていけば、賞与の存在意義は高まり、社員のモチベーションは確実にアップするでしょう。コロナの影響もあり、働き方を取り巻く環境が変化しつつあります。こんなときだからこそ、経営計画の作成から始めてみてください。

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