賃金テーブルとは賃金・給与を設定するための基準となる表

賃金テーブル(給与テーブル)のつくり方、運用の移行手順【サンプル付きExcelテンプレートプレゼント】

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経営者、人事担当者にとって、賃金テーブル(給与テーブル)の調整は頭を悩ませるものです。現行の賃金テーブルから、より良いものへと移行するには、どのようなコツがあるのでしょうか。中小企業での賃金テーブルの考え方やつくり方、現行からの移行手順などを具体的に解説します。

上記のフォームから、入力サンプル付きの賃金テーブルシートを無料で配布しています。役職ごとの標準額や役職手当なども入力できるテンプレートですので、賃金テーブルの運用にぜひ活用してください。

賃金テーブル(給与テーブル)とは

賃金テーブルは、別名「給与テーブル」ともいいます。賃金テーブルは、賃金・給与を設定するための基準となる表のことで、新人から幹部レベルまで等級別に基準となる給与額を振り分けたものです。

賃金テーブルには、人材育成に対する会社の姿勢が反映されます。勤続年数が増えるにしたがって賃金が増加する年功序列型の賃金テーブルであれば、長期間の勤務による経験やスキルの積み重ね、貢献年月を重んじる会社であることが分かります。一方で、業績を上げればそのぶんだけ賃金が増えていくテーブルであれば、実力主義の会社であることが分かります。

つまり、賃金テーブルの仕組み一つで、どんな人材育成を行ってゆくかが左右されるということです。人材は、会社の要です。テーブルの調整は、常に会社の姿勢を問いながら、慎重に行わなければなりません。

本記事で紹介している賃金テーブルについては、以下の書籍でより詳しく学んでいただけます。あわせてお読みいただくと理解が深まります。
小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方 「やる気のある社員」が辞めない給与・賞与の決め方・変え方

小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方

賃金テーブルをつくるための準備

賃金テーブルを作るための準備として、まずはグレード(等級)を設計します。グレードとは、仕事のスキルや役割のレベルを段階的に表したものです。各グレードには、会社が期待する仕事レベルが反映されます。

まずは等級数を決める必要がありますが、おすすめなのは、ひとまず次の3つのステージごとに等級数を考えることです。

  • S(スタッフ):役職がない一般社員
  • L(リーダー):主任、係長など、管理職ではないリーダー
  • M(マネジメント):課長、部長など管理職クラス

それぞれについて初心者からベテランまでのレベルを段階的に考えたうえでグレード数を決めましょう。具体的には、以下の記事を参照してください。

給与制度の「等級(グレード)」とは?等級の設計の仕方、給料の上がり方を解説

賃金テーブルのつくり方

グレードの段階数と求める仕事や役割について定まったら、賃金テーブルを作成していきます。次の3つのステップで行いましょう。

(1)各グレードの標準金額をざっくり決める

まずは各グレードの基準額をざっくり入れていきます。グレードを6段階としたパターンで実際に金額を決めてみると、以下のようになります。

グレードごとの標準額
グレード 標準額
M2 500000
M1 400000
L1 320000
S3 260000
S2 220000
S1 190000

ポイントは、そのグレードや役職に求められる仕事への対価として、どのくらいの金額がふさわしいかという点です。標準額を決めたら、グレード感の差額も出してみましょう。上位のグレードに行くほど差額が大きくなっていたほうが、この後の賃金テーブルを設計しやすくなります。

また、賃金の上限と下限の金額も決めておきます。各グレードの最低額、最高額を定めておき、この差額についても上位グレードに行くほど大きくしておきましょう。

(2)「役職手当」の金額を決める

次に、「役職手当」の金額を決めます。これも、まだざっくりとしたイメージで決めて構いません。例えば、次のような要領です。

「主任は最初の役職として10,000円としよう。その場合、課長は50,000円を超えないと管理職として魅力がないだろうな。さらに部門を統括する部長ならプラス30,000円以上は必要だろう」

「役職手当」の詳細については、下記に解説しています。

役職手当の決め方と設定方法、社員を育てる賃金制度の仕組み

(3)基本給(本給+仕事給)を決める

次に、基本給を決めていきます。グレードごとの標準金額を、「本給」「仕事給」「役職手当」の3つの支給項目に分類しましょう。「本給」と「仕事給」を合わせて「基本給」とします。それぞれの内容と主な運用方法は以下の通りです。

「本給」は、勤続給的な性格を持った、積み上げ型の支給項目です。年に1回、定期的に昇給します。グレードごとに上限、下限を決め、年1回の昇給額は評価結果に応じて決定します。降格した場合のみ、本給が下がる可能性があります。

「仕事給」は、評価結果に基づいて、成果や貢献度を直接反映する支給項目です。評価するたび、あるいは一定期間の評価結果に応じて金額が変動します。通常、半年ごとに変動させるのが最も多いパターンです。

「役職手当」は、役職に応じて支給する給与です。上項で示したように、役職ごとに、一律の金額を決めて支給します。

基本給を決めるための制度設定の詳細は、以下の記事に解説しています。

中小企業の基本給の決め方、本給と仕事給の比率が重要!

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間違った給与の決め方をしていませんか?

ここまで読んできて、「今までの給与決定とはやり方が違う」と戸惑われている方も多いでしょう。具体的な給与の移行作業に入る前に、あなたの会社の現在の給与の決め方を確認してみてください。中小企業の給与の決め方には、問題につながる共通のパターンがあります。それは、次の3つです。

  • 1,えんぴつなめなめ型

社長の判断が給与決定の基準となっているケースです。昇給や賞与のたびに、社長が独自の判断で社員の昇給額や賞与支給額を個別に、あるいは他社と比較しながら決めています。給与額に根拠がないため、社員の不信感やモチベーションの低下、離職の引き金になることもあります。

  • 2,他社(者)依存型

前職の給与を基準として中途社員の給与を決めているケースです。社員間の整合性が取れず、同じ仕事をしていても給与の高低が発生してしまい、社員に不信感をもたらすことになります。

  • 3,事なかれ主義型

前回の金額が基準となるケースです。「前回の昇給額が●円だったから、今回も同じにしよう」など、前回の金額を下回ることによる社員の不満を抑えるため、事なかれ主義的な発想に基づいて給与を決めてしまいます。すると、もともと給与が高い人と新人との給与差が縮まりにくく、若手の離職につながる恐れがあります。

間違った給与の決め方から整合性のある給与制度へ移行する方法について、別記事に詳しく解説しています。参考にしてください。

あなたの会社は大丈夫?間違った給与の決め方から整合性のある給与制度へ移行する方法

現行の賃金テーブルからの移行の手順

いよいよ、現行の賃金テーブルを新しいテーブルへと移行します。手順は、次の4ステップです。

(1)支給や手当はできるだけ「固定給」に組み入れる

現行の支給項目には、「基本給」「役職手当」の他にも様々なものがあるかと思います。仕事の役割や貢献度に応じて支給している「本給」「職能給」「職務手当」「調整給」などといった項目は、全て「固定給」に組み入れましょう

また、「勤続給」「年齢給」「資格手当」「家族手当」「住宅手当」「皆勤手当」などを支給している場合も、これを機会に「固定給」に組み入れられないかどうか検討します。どうしても残す必要があるものだけを存続させましょう。

理由は2つあります。1つめは、仕事の成果や貢献度とは関係ない項目が多いため。2つめは、中小企業では社員の実態管理が細かくできずに、支給の条件から外れた者に継続して支給していたり、条件を満たしている者に支給されていなかったりする場合も多いからです。なお「所定外給与(時間外手当など)」、「通勤手当」は、対象外とします。

(2)社員全員のグレードを決める

社員全員のグレードを格づけします。社員の実力や役割をもとに決める方法もありますが、本人に求めたい仕事レベルを明確にし、またこれまでの会社への貢献度などをもとにしながら格づけを行うのが順当です。本人の実力と給与額にギャップがある場合は、賃金テーブルの運用後にトライアル評価を行うことで埋めていきます。

なお、中小企業にありがちなのが、「名ばかり役職」の存在です。「副部長」「次長」「課長代理」「課長補佐」といった役職は統合・整理します。ただ、例えば「課長代理」から「主任」になることで降格イメージがある場合は、「決して降格ではない」と本人含め社内に周知するのが大事です。

(3)社員一人ひとりの支給項目別金額を設定する

社員別に給与支給項目ごとの金額を決めていきます。このとき、上位グレードから調整を行いましょう。賃金テーブルに従って「本給」「仕事給「役職手当」を決定し、固定支給額の合計を求めます。

新体制の給与額を現行の給与と同額にしようとすると、必ずもらいすぎ、逆にもらわなさすぎの人が出てきます。移行額が現行額から大きく外れてしまうと、不満の種になります。そこで、オーバーした金額があれば「調整給」という項目を設けて別に振り分けておきます。

(4)新体系に収まりきれない社員の給与を調整する

最後に、調整給についての運用ルールを明確にしておきます。なぜ調整給が生じたのか、要因を明確にし、必要な場合は給与テーブルを調整しましょう。他の社員への影響はないか、影響を全社的に問題のない範囲にとどめられるかに注意しながら調整を進めましょう。

また、長期的にみれば、調整給は給与制度を運用していくなかで段階的に消滅させるのが妥当です。調整給を消滅させる方法としては、昇給額で吸収したり、補償する期間を決めたりするものがあります。詳細は、以下の記事を参考にしてください。

調整給が発生するケースとは?調整給の運用方法

賃金の不満の解消には「評価制度」が必要

賃金の不満解消

これで賃金グレードの作成が終わりました。しかし、運用はまだ始まったばかりです。新しいことを始めるときに反発はつきもの。運用し始めの頃は、社員たちから不満や反発の声が上がることもあるでしょう。「なぜあの人より給与が少ないの…」「成果に見合った給与をもらえている気がしない…」といった不満の声が上がるかもしれません。しかし、そこからが運用の本番といえます。

お伝えしたいのは、「社員にとって重要なのは、金額よりも評価結果」であるということです。新たな給与制度を策定したら、必ず給与額の客観的な根拠を社員全員に伝えましょう。そして、誰もが納得できる客観的な評価方法をもとにした評価制度を作成し、評価基準を明確にしながら運用していくことで、社員の納得を勝ち取ることが重要です。

私が提唱している「ビジョン実現型人事評価制度®」は、客観的な評価方法をもとに、社員の誰もが納得できる賃金制度を運用していける評価制度です。ただ、目的はそれだけではありません。会社の理念やビジョンを社員と共有し、事業計画書と連動した評価制度とすることで、組織も社員もベクトルを合わせて発展していくことが、大きな目的となります。

社員に対して、「賃金に納得してもらうだけではなく、活き活き働いてもらいたい」と願い、「強い組織を実現したい」と考えるなら、ぜひ「ビジョン実現型人事評価制度®」の採用をご検討ください。「ビジョン実現型人事評価制度®」の詳細は、以下の記事で解説しています。

ビジョン実現型人事評価制度®・経営計画書の作り方総まとめ

おわりに

賃金テーブルのつくり方について、お分かりいただけたでしょうか。ぜひ、現行の賃金制度を見直しのうえ、社員の誰もが「自分の賃金は今の経験・能力に対して妥当だ」と思える賃金テーブルを作成してください。社員のモチベーションが向上し、能力向上のスピードにも好影響を与えるでしょう。

簡単に賃金テーブルの作成ができる、エクセルを活用した「賃金テーブルシート」を、本記事を読まれた方限定でプレセントいたします。さまざまな数値を連動させているため、標準額を細かく調整しながら自社に適した給与額を探り当てたいというニーズにピッタリです。賃金テーブルシートを使って、経営者や人事部だけでなく全社員が理想とする賃金制度を作り上げましょう。

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「賃金テーブルシート」の他、「賃金移行シミュレーション」や「賞与支給額シミュレーション」「賞与ポイント表」なども使える「賃金策定シート集」は、以下の書籍の購入特典として付属しています。
※「賃金テーブル作成シート」単体でも使用可能ですが、現行の賃金制度から移行する場合は、「賃金移行シミュレーションシート」を使いながら調整することをおすすめします。

小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方 「やる気のある社員」が辞めない給与・賞与の決め方・変え方

小さな会社の〈人を育てる〉賃金制度のつくり方

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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私たち日本人事経営研究室は、"人間成長支援"をミッションとし、
中小企業の持続的成長をサポートしています。
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それは、会社の中で仕事ができる「人材」ではなく、仕事を通じて地域や環境、社会に貢献できる「人間」を育てる事を目指しているからです。
日本人事経営研究室では、そのために必要な「人」に関するサービスや情報を提供しています。

日本人事経営研究室 代表取締役 山元浩二氏

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