経営理念とは?社員の成長が加速する経営理念の作り方 5つのステップ、参考にしたい事例7つも紹介

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経営理念とは、企業の活動方針を決定するための基本を示す考え方です。経営理念ひとつで、社員の成長が左右されると言っても過言ではないでしょう。

しかしそう言われても、実際に経営理念を作るとなると難しいですよね。「効果的な経営理念の作り方がわからない」「経営理念を作る手順がわからない」、と入口でつまずいている経営者も多いことでしょう。

そこで本記事では、社員のやる気を十分に引き出す経営理念の作り方を解説します。実践的な経営理念を作るための5つのステップをご紹介しますので、ひとつずつ順番に考えてみてください。そうすれば、精度の高い経営理念が出来上がることでしょう。

本文中で紹介している各種シートは記事下のフォームよりダウンロードしていただけますので、ぜひこちらを見ながらご覧ください。

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「超実践的」経営理念の作り方はこれ!

経営理念は、会社が目指す最終目的地を定めるものです。それは、会社の全体的なビジョンを決めるための第一歩であり、全社員にとって実現すべきだと思えるような、具体性や力強さを持っていなければなりません。

「こんな感じでいいか」といい加減に決めた内容では、社員はどこを目指せばいいのかわからないですし、自信を持って「我が社の経営理念は○○です」とは言えないですよね。それに、クライアントや顧客から見たら、その会社が確固たる経営理念を持って活動しているのか、それとも適当に掲げているだけなのかは、案外わかるものです。

社員全員が自信を持って口にできる経営理念を掲げることにより、社員の意識も変わってきます。経営者自身が目指すべき会社の姿を常に心の中に留めておくことためにも、また、会社を成長させるためにも、「具体的で牽引力のある経営理念」が必要です。

ここからは、超実践的な経営理念の作り方をご紹介していきます。次の5つのステップで、実践的に経営理念を作り上げましょう。

手順1.他社の経営理念を数多く見る

まずは、経営理念についてのイメージを固めることから始めましょう。しかし、経営理念を考えるといっても、漠然としていて思いつかないですよね。

そこでおすすめしたいのが、他社の経営理念を参考にする方法です。世の中にはどのような経営理念があるのか、自分のイメージに合うものを選んで集めてみましょう。

他社の経営理念を参考にする際は、最低限、次の3点は押さえるようにしてください。

  • 自分が好きな社長、会社のもの
  • 同業種で業績が良い会社のもの
  • 中小企業で、尊敬する先輩経営者のもの

実際に成功している企業の事例は参考になりますし、分かりやすく伝わりやすい経営理念を考える上で、事例を参考にするのは重要です。

自分自身の言葉にこだわりすぎると、かえって伝わりにくくなってしまい、思いが十分に表現できない可能性があります。他社の経営理念であれば客観的に評価できますし、ぼんやりとしたイメージを具体化できるでしょう。

今では、多くの企業がホームページなどで自社の経営理念を掲げているので、気になる会社の経営理念を調べてヒントにしてみてください。ここでは、経営理念のお手本として挙げられることの多い7社の経営理念をご紹介します。

事例1.株式会社サイバーエージェント

21世紀を代表する会社を創る

出典:株式会社サイバーエージェント

非常にシンプルで力強い経営理念(ビジョン)です。しかし、これだけでは抽象度が高すぎて理解・共感が難しいと思われます。
それを補うためか、「Mission Statement」として詳細を補足しています。

事例2.キリン株式会社

「飲みもの」を進化させることで、
「みんなの日常」をあたらしくしていく。

出典:キリン株式会社

事業の核となるものが「身近な飲料」であることを明言しており、具体的で理解しやすい経営理念です。
「ブランドの約束」という表現がされているとおり、従業員だけでなく、顧客である消費者に対する約束でもあると考えられるでしょう。

事例3.株式会社オリエンタルランド

自由でみずみずしい発想を原動力に
すばらしい夢と感動
ひととしての喜び
そしてやすらぎを提供します。

出典:株式会社オリエンタルランド

東京ディズニーランドを運営する株式会社オリエンタルランドの経営理念です。
「夢と感動」「喜び」「安らぎ」の提供こそがコアバリュー(企業の持つ中心的な価値)なのだという想いが伝わってきます。

事例4.トヨタ自動車株式会社

トヨタはクリーンで安全な商品の提供を通じて、豊かな社会づくりに貢献し、国際社会から信頼される良き企業市民をめざしています。

出典:トヨタ自動車株式会社

トヨタは、本社を置く豊田市で長く愛されている企業で、経営理念でも「企業市民をめざしています」と宣言しています。企業市民というのは、「企業である前に一市民として自覚を持つべきである」という考えの経営学用語です。

前半はグローバルな視点、後半は地域の視点を取り入れた、視野の広い内容の経営理念となっています。「企業市民」という言葉は親しみやすさや距離の近さを感じさせるので、地域貢献を経営理念に取り入れたい中小企業は、参考にしてみてはどうでしょうか。

事例5.パナソニックグループ

私たちの使命は、生産・販売活動を通じて社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与すること。

出典:パナソニックグループ

2018年で創業100周年を迎えるパナソニックでは、創業者であり、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏の意思を受け継いだ経営理念を掲げています。長く愛される企業というのは、創業者の影響が大きいものです。

パナソニックグループでは、上記の経営理念を具体的に示す指針として、1992年に「パナソニック行動基準」を制定しているので、そちらもご覧になってみてください。

事例6.ソフトバンクグループ

情報革命で人々を幸せに

出典:ソフトバンクグループ

ソフトバンクグループの経営理念は、非常にシンプルです。「情報革命」でインターネット・通信事業者としての姿勢を示し、「人々を幸せに」で企業と社員が目指すべき姿勢を示しています。

11文字という短い経営理念ですが、だからこそ伝わりやすいですよね。「人々を幸せに」という言葉は親しみやすさがありますし、「情報革命によってもたらさせる幸せとは何か」ということを、社員がそれぞれ考えるきっかけにもなるでしょう。

事例7. Amazon

地球上で最もお客様を大切にする企業であること

出典:Amazon

世界最大のECサイトを運営するAmazon社では、「お客様」を第一に考えることを経営理念として掲げています。「地球上で最も」というフレーズは大げさに聞こえるかもしれませんが、中途半端な言葉よりも伝わりやすいですよね。

それに、これだけはっきり経営理念に書かれていると、社員は何を大事にして働くべきかを理解しやすいです。Amazonがこれだけ大きな企業になったのは、こうした明確な経営理念を掲げていることがひとつの理由なのかもしれません。

手順2.社長の考えを書き出す

軽理念のイメージが固まってきたら、次は、社長自身の考えを企業理念に盛り込むためのアウトプットを実践してみましょう。

以下の5つの質問に自問自答し、できるだけたくさんの考えを書き出してください。

「自社は何のために存在するのか?」
「自社はどうやって社会に貢献していくのか?」
「世の中に何を広めたいのか?」
「10年後はどうなっていたいのか?」
「誰からどんな支持を得たいか?」

これらの問いは、自社独自の経営理念を考案するためのものです。他社の事例を参考にするだけでは独自性は生まれないですが、上記5つの質問に対する答えを掘り下げていくことで、オリジナルの経営理念に近づけていきます。

【社会における自社の役割】【将来の自社の姿】【支持を得たい顧客層】を具体化し、経営理念に盛り込めるように考えてみてください。そうすることで、独自性の高い経営理念が出来上がるでしょう。

手順3.アウトプットした言葉をもとに3つの案を作成する

次は、手順1で選んだ他社の経営理念を参考に、手順2で書き出した言葉を使って経営理念を作ってみましょう。まずは細かいところにこだわらず、表現を変えたりしながら3つの案を作成してみてください。

この手順のコツは、3つの案それぞれの表現を変えてみたり、組み合わせを変えてみたりすることです。この段階で1つの案に絞ってしまうと視野が狭まってしまい、発想が広がりにくくなってしまいます。

まだ経営理念を構想する段階ですので、あまり神経質にならず、パズルをするような感覚で案同士を組み合わせたり言葉を入れ替えたりしてみてください。

案を3つとするのは、数が多すぎても考えにくくなるからです。いい案が複数あるならば5つくらい出しても構いませんが、手順2である程度のイメージが固まったのであれば、「これはいい経営理念になるかもしれない」という案を3つに絞って考えてみてください。

3つの案

手順4.時間をおいて熟成・昇華させる

3つの案を1枚の紙に書き出したら、一週間以上持ち歩くようにしてみましょう。会議後や打ち合わせ後、お客様からのクレーム対応後など、ことあるごとに経営理念を読み返すようにしてください。

時間を置いて見てみると、足りないものに気づいたり、「こういう表現の方がより伝わりやすいかもしれない」と感じたりすることがあります。なので、手順3ですごくいい経営理念の案ができたと思っても、そこで思考をやめてしまってはいけません。

また、経営者仲間に意見をもらうのもいいでしょう。案が出来上がった時は気分が高揚し、主観的な視点が大きくなっているため、第三者に見てもらう、またはできるだけ客観的な視点を盛り込むことを意識してみてください。

よりよい表現や追加したいキーワードが思い浮かんだら、その都度書き加えていきましょう。こうして昇華させていくことで、経営理念の質は上がっていきます。

経営理念は納得いくまで考えることが大事ですので、何度も手直ししてブラッシュアップしていきましょう。

※ブラッシュアップは「磨き上げる」という意味のビジネス用語

手順5.10年後も使えるかどうかを検証する

最後に、手順4で集めた意見やアドバイスを参考に、3つの理念を1つにまとめましょう。まとめたら、「果たしてこれは10年後も使えるものなのか?」と自問してみてください。

現在の自社の姿ではなく、10年後という将来の姿を描くことが大事です。10年後も、その経営理念を全社員が目指し続けている姿が頭の中に思い描けるであれば、それは自社に合った理念であると言えるでしょう。

経営理念を途中でも変えること自体は問題ありませんが、経営理念をコロコロ変えてしまうと、社員がどこを目指せばいいのか、何を信じて働けばいいのかがわからなくなってしまいます。それに、顧客に対する信用性も低下してしまうので、10年先も同じ理念のもとで経営している姿を思い浮かべられるか、真剣に考えてみてください。

もしも10年後のビジョンが描けない場合は、もう一度手順1や手順2に戻ってやり直しましょう。10年後を思い描いたときの違和感がなくなるまで練り直します。

なかなか決まらなくても焦らないでください。ずっとかわいがりながら、いとおしく思える経営理念を作りましょう。

経営理念は社員全員で同じ目的に向かうための指針

経営理念は、経営者だけのものではありません。社員にとって、経営理念は会社の方針というだけでなく、自分がどこに向かうべきか、何を信じて働くかを示してくれるものでもあります。

いわば経営理念というのは、「社員全員で同じ目的に向かうための指針」です。社会という大海原で進むべき道を見失わないために、10年後も使える経営理念が必要となります。

理想的なのは、社員がクライアントに仕事内容を聞かれた時に、経営理念そのものを答えられる状態です。経営者も含め、社員全員が自信を持って経営理念を口にできる、そんな会社に育てることができれば、クライアントや顧客から信頼される企業となるでしょう。

ただし、経営理念を作って終わり、というわけではありません。社員がどのように行動すればよいかを示すためには、「行動理念」と「行動指針」が必要です。

「行動理念」、または「行動指針」は、社員のベクトル(方向)を合わせる役割があります。社員たちのバラバラな仕事に対する考え方を揃え、同じ方向に向かえるようにするのが「行動指針」と「行動理念」の役割です。

行動理念と行動指針については、それぞれ詳しく解説している記事がありますので、そちらを参考に作成してみてください。

行動理念とは何か?企業における役割と意味、その作り方を一から解説

企業における行動指針とは?果たす役割と作り方、5つの事例から考える効果的な行動指針

まとめ

経営理念とは、会社の活動を通じて何を実現するのか、どこへ行きつくのかを明確に示すものですから、会社のビジョンを実現させるため、最優先で決定しなければなりません。企業理念が決まることで基本方針が決まり、行動理念が決まり、人材育成方針が決まってゆくのです。

会社のビジョンを明確化することは、全社員に目的意識を共有させ、活き活きと働く人材を育成することにつながります。社員に理解してもらえるようなビジョンを示すためには、理念や方針をはじめ、経営計画や人材育成計画を落とし込んだものをシート化するのが一番です。A4一枚の「ビジョン実現シート」を作成し、会社の全体像を全社員に浸透させましょう。

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補足:経営理念が浸透しない理由とは?

じっくり考え抜いて創り上げた経営理念も、従業員に浸透しなければ意味をなしません。多くの企業が経営理念を掲げていますが、それが末端の従業員まで浸透している企業はどれだけあるのでしょうか?

少し以前の調査になりますが、2013年のHR総研が行った調査によると、理念が浸透していると回答した企業はわずかに6%。それに対して「あまり浸透しているとは思わない」「そう思わない」と答えた記号は合計で53%と過半数に上りました。

出典:企業理念浸透に関するアンケート調査 | HR総研

しかし、このアンケートは人事担当者向けに行われており、末端の従業員を調査したものではありません。推測ではありますが、末端の従業員に向けて同じ調査を行ったとしたら、もっと低い数値が出たのではないかと思います。

なぜ経営理念が浸透しないのか。この調査では原因についても質問をしており、最も多い回答は「経営層が旗振り役になれていない」の54%でした。「企業理念に基づいた体制・制度になっていない」は30%で3位、「経営環境と企業理念に乖離がある」も20%強で5位と上位に入っています。

これを見ると、経営理念を決めただけになっている企業ばかりで、本気で浸透させようと行動している企業は非常に少ないと言っても過言ではないでしょう。

経営理念を浸透させるためには、掲げるだけではなく多くのアクションが必要です。経営理念を浸透させるための具体的な手段については以下の記事で述べているのでそれぞれ参考にしてください。

経営理念をA4用紙1枚に!従業員の理解と共感を助ける「ビジョン実現シート」の作り方
経営・行動・人事理念を明確化すれば会社が変わる!中小企業が打ち立てるべき3つの理念を解説
たった3項目で社員の成長を爆速化させる「チャレンジシート(目標管理シート)」の作り方 | 人事評価制度の教科書
部下と心が通い合う!信頼関係を強固にする「面談シート」の作り方
人事評価制度=給与査定ではない!全社員がビジョンに基づき一丸となって成長できる人事評価制度・経営計画の作り方まとめ

経営理念を隅々まで浸透させるためには、人事評価制度も含めた包括的な施策が欠かせません。経営理念を浸透させ、会社の成長を加速させるための手法を学びたい方には、日本人事経営研究室代表 山元浩二の著書「図解 3ステップでできる 小さな会社の人を育てる「人事評価制度」のつくり方 CD-ROM付」がおすすめです。

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