効果の出やすい社員教育の3つのステップ、経営幹部から教育を始めよう|人事評価制度・賃金制度のノウハウ | 日本人事コラム

効果の出やすい社員教育の3つのステップ、経営幹部から教育を始めよう

効果の出やすい社員教育の3つのステップ

  • 社員教育に効果が実感できない…
  • 効果的な社員教育の方法を知りたい

本記事では、こうした社員教育の悩みにお答えします。

社員教育といえば、新入社員向けの研修や外部から講演者を呼んでの社員向けセミナーを思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、最初に教育すべきなのは、経営幹部だということをご存知でしょうか。本記事では、効果の出やすい社員教育について、段階的に解説します。

継続的に社員教育をしている企業は3%未満

あなたの会社には、こんな悩みがありませんか。「一生懸命でまじめな社員ばかりなのに、なぜ求めるような人材に育ってくれないのだろう?」と。答えは単純。これまで、会社は成長に結びつくための教育を行ってこなかったからです。

とくに中小企業では、計画的かつ継続的な教育を行っているところは、全体の3%もありません。しかしこれは、裏を返せば「きちんと教育を行えば、ぐんぐん成長する可能性をふんだんに残している」ということでもあります。「一生懸命」で「まじめ」な社員ばかりなら、教育材料さえ示せば、きっとがむしゃらに勉強してくれるはずです。

そして、社員教育に取り組むだけでも、他社との大きな差別化につながることは間違いありません。自社の強みを増やすためにも、人材教育を取り入れることは効果的なのです。

社員教育はまず経営幹部からはじめる

社員教育が大事と分かっていても、これまで計画的に教育を行ったことのない会社は、どこから手をつけたらよいのか迷ってしまうでしょう。教育というと、外部研修や研修講師を招いて行う方法を考える方が多いでしょうが、それではお金も時間もかかります。

中小企業の人材教育には、効果の出やすいステップがあります。まずは、経営幹部などの上位職から教育をしていくことが最も肝心です。教育の量、質ともに、上位職ほど厚くしなければなりません。

ところが、中小企業ではこの逆が非常に多くみられます。接客・マナー研修や新人研修、営業研修などを中心に行うパターンです。一時的な効果が見込める場合もありますが、本質的な組織の強化にはつながりません。

効果の出やすい社員教育の3つのステップ

社員教育はまず経営幹部から始めましょう。幹部教育を行う上での、3つのステップを解説します。

「5年後に求めるリーダー像」を書き出す

まずは、現状の人材レベルを知ることから始めましょう。理想の人材像を思い描きます。あまりに遠い理想像だと現実的ではなくなってしまうため、「5年後、どうなっていてほしいか」を基準に考えるのがおすすめです。

「5年後に求めるリーダー像」が定まったら、現状の人材レベルと引き比べてみて、何が足りないかを書き出してみましょう。自社の幹部に不足していて、重要な要素がわかれば、それにもとづいて教育計画を作成できます。

幹部リーダーに必要な能力を決める

幹部リーダーに必要な能力には、大きく分けて3つがあります。「理念の理解・浸透の実践」「戦略立案・実行力」「部下育成・指導力」の3つです。この3つについて掘り下げ、研修教育に必要な要素を洗い出していきましょう。

「理念の理解・浸透の実践」は、経営理念や経営ビジョン、そしてそれらを踏まえた経営計画を理解する能力と、自らが理解したことを部下ら全員に理解させ、浸透させる能力です。この能力に長けていれば、スタッフ全体への理念教育は、幹部に任せることができます。

また、「戦略立案・実行力」を高めることで、幹部としての実力がアップするうえ、社員全体のモチベーションも高まります。チームを引っ張ってくれる頼もしいリーダーとして、一目置かれる幹部になるでしょう。

さらに「部下育成・指導力」をアップさせれば、幹部以下向けの研修を頻繁に行わなくても、スタッフはめきめきと実力を上げてきます。幹部から先に教育を施すことで、その効果は全社員へと浸透するのです。

どんな研修教育をやるかを決める

最後に、どんな研修教育をやるかを決めましょう。理念やビジョンの理解と浸透を促進するためには、「経営理念・行動理念ミーティング」が必要です。戦略立案や実行力の向上には、デモンストレーションを盛り込んだ研修が功を奏すでしょう。

大事なのは、研修プログラムについて、まずは社長一人で考えることです。外部の研修会社やコンサルタントに幹部研修プログラムの案を作ってもらっても、継続的な成長の効果は期待できません。そのような会社は、どんなお客さまにも当てはまりやすい、最大公約数的なプログラムを「御社のために開発しました」と提案するだけだからです。

自分の会社の幹事の仕事ぶりと成果を、一番知っているのは社長です。社長自ら教育内容を考えるようにしてください。外部に頼むかどうかを検討するのは、その後からで構いません。

人事評価制度の運用を成功させるには評価者の教育が不可欠

幹部リーダーから教育すべきなのは、彼らが「評価者だから」という理由もあります。人材の成長に必要不可欠な仕組みとして人事評価制度がありますが、制度を実際に回していくのは幹部であり、リーダーたちだからです。

人事評価制度は、評価される側からすれば、それで自分の価値が決まってしまうほど大事なものです。賃金が決まるだけではありません。正しく運用されている人事評価制度であれば、自分がどれだけ会社に貢献できているか、社会人として成長できているかを知るバロメーターにもなるでしょう。

そんな大事な制度なのに、全く信用できない上司によって、その根拠もわからないままに評価されていたとしたらどうでしょうか。会社を離れたいと考えるスタッフが出てくるのも、おかしくありません。幹部リーダーは、大事な社員を評価する側としてきちんと教育を受け、公正で客観的で、受け取る部下が納得できるような評価を下さなければならないのです。

正しく設計された人事評価制度は、人材確保や育成が難しいとされる現代において、会社にとって必要不可欠なものです。うまく運用させるためにも、正しい活用法を評価者自身が学ばなければなりません。

おわりに

幹部リーダーに向けた研修を行う際、最初は、社長自ら講師を務めるのがベストです。何から手をつけてよいかわからない、研修なんてやったことないという方は、自ら定めた理念の教育を行いましょう。

詳細な研修スケジュールやレジュメなどを作る必要はありません。幹部社員との定期的な理念ミーティングからのスタートで十分です。ただし、継続して定期的に行うようにするのがポイントになります。

また、この記事では社員教育にスポットを当てて解説しましたが、人材教育にテコ入れしたいと考えたら、社員教育だけでは大きな効果が望めません。企業理念やビジョンを含めた経営計画と連動した人事評価制度を設計し運用することから始めると、経営幹部の教育にもつながり最も効果的です。詳細は、以下の記事を参考にしてください。

人事評価制度とは「人材を育成するための仕組み」、人事評価制度・経営計画の作り方まとめ

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である「【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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