評価制度の実践でリーダーに適正な「判断力」を身につけさせる:中小企業で本物のリーダーが育たない理由6

評価制度の実践でリーダーに適正な「判断力」を身につけさせる:中小企業で本物のリーダーが育たない理由6

シリーズでお伝えしている、リーダー育成について。前回は、「評価制度」を運用していくことで、リーダーに必要な3つの力

(1)観察力
(2)判断力
(3)目標推進力

のうち、「観察力」をどのようにして身につけることができるかをお話しました。

今日は「判断力」についてです。ここでいう「判断力」とは、「部下の実力を正しく判断できる」力です。

この正しい「判断力」を身につけるにはポイントが二つあります。
「事実を根拠に判断する」ことと、「基準にもとづいて判断する」ことです。

まず、評価は”事実”にもとづいて判断しなければなりません。この”事実”とは、部下の言動を「観察」することによって得られた”事実”です。

自分自身で事実として確認できた部下の言動のみが評価の判断根拠ということです。逆に、「あいつならできていたはず」「行っていなかっただろう」という”予測”を根拠に評価を行うべきではない、ということです。

「行っていなかっただろうから『C』評価だ」
「いえ、課長、私はちゃんとやりました。ここに記録があります」

といったケースに、評価を修正せざるを得ない状況にもなりかねません。そうなると、上司としての信頼を失ってしまうかも知れませんね。

二つ目の「基準」にもとづいて評価をする、ですが、ここでいう「基準」とは「評価基準」のことです。この「評価基準」の内容、レベルに対して部下の仕事ぶりはどうだったのかで評価しなければならない、ということです。

もし、「評価基準」を無視してしまったらどうなるか……。

各評価者がそれぞれ自分の「ものさし」で判断をせざるを得ません。その「ものさし」は通常バラバラです。こうなると、評価者によって違う視点によって評価するということですから、「甘い」評価や「辛口」の評価をする人が出てきてしまいます。結果、部署が変わると同じ仕事ぶりでも評価結果が変わる、ということにつながりますから、評価に納得性が得られるわけはありません。

会社の成長のために取り入れた評価制度は、不満の温床となり、導入前の方がマシという結果になってしまうでしょう。

評価制度を繰り返し、徹底して実践していくことでリーダーにこの適正な「判断力」を身につけてもらうことができるのです。

実はこの評価を行うときの「判断力」はいろんな場面で応用が利きます。

例えば、ある見込客の集客のために実施したキャンペーンの効果を判断する場合。反応率や人数、獲得した見込客の数等の具体的な「事実」をもとに自社の「評価基準」にもとづいて評価をします。

また、新商品の販売実績を判断する場合。売上や販売個数、エリア等の「事実」にもとづいて自社の必要な利益や売上の「基準」に対してどうだったかを評価、以降の販売方針を判断します。

新しいシステムソフト導入の効果を評価する場合はどうでしょう?どのくらい業務のスピード化や正確性の向上が実現できたのか、人員の削減が図れたのか等の「事実」をもとに、当初見込んでいた自社の「基準」に照らし合わせて「判断」しなければならないでしょう。

このように企業活動の中で「計画(PLAN)」「実行(DO)」されたものは「事実」と「基準」で「評価(CHECK)」されるべきなのです。

ところが、なかなかそうはなっていない場合も多いものです。

PDCAをまわしていく立場にあるリーダーには絶対に必要なスキルですよね。