ミニ講座vol.016

業績につなげる人事評価制度運用のコツ~公平な業績目標設定3~

不公平感が出やすい営業職の目標設定についてどうすればその不公平感を解消できるか、その方法について考えてきました。
 
その方法として
<1>評価を目標に対する達成率で行う
<2>プロセス数値の評価項目を加える
<3>業績項目以外の評価項目を強調する
という3つの方法で解消すれば良かったですね。このうち<1>と<2>についてお話をしました。
 
今日は<3>についてです。以前お話した評価基準の考え方を思い出して欲しいのですが、評価項目の考え方として
(1)業績評価
(2)成果評価
(3)能力評価
(4)情意評価
この4つの視点で評価項目を考えていくとよいということでした。
 
この中で、どうしても営業職の社員に対しては人事評価を行う場合、(1)の業績評価に重点を置いてしまいがちです。業績評価(=数値で判断できる評価項目)の中にもプロセス数値と結果数値があるというお話をしましたが、いくらプロセス数値を設定しても業績評価だけでは人を育成する評価の仕組みはできません。
 
企画力や提案力は数値ではどうしても測れません。情報収集や顧客管理についてはどうでしょう?営業職として必要な知識や技術はどのようにして判断しますか?チームで取り組み成果を挙げた場合のチームワークは?
 
提案力や交渉力は(2)の成果項目として知識や技術については(3)能力項目。チームワークは(4)の情意項目として評価を行うのです。
 
このように営業職に必要な『成果』や『能力』『情意』項目を考えて行くと10~15項目くらいになります。ということは、業績として評価して行く数値項目よりも数値以外の項目の方が項目数は多いということになります。ということは、もし、数字で結果が残せなかったとしても、それ以外の評価項目で挽回は可能ということになります。
 
事例である営業社員の仕事ぶりについての評価を考えてみましょう。
 


地場大手、トップ建設に勤める田中君(仮称)は4月に新しい営業所に転勤し、担当エリアが決まりました。
現在その会社が力を入れている商品は土地を所有する資産家に対してのマンション建築の提案でした。
早速、田中君はマンション建築が可能な空き地と建替えを行った方が収益が出そうな物件を担当エリアをくまなく調査し、リストアップ、所有者に対して会社案内やマンション建築に関する提案のDMを送付しました。
その内容は見込客の興味を引くのに十分な内容で、なんと30%の反応がありました。
反応のあった顧客に対して、それぞれの見込客が得られる利益が明確に解る企画提案書を作成し、直接訪問、60%(この段階で15人)の見込客から具体的な設計や収支シミュレーションの依頼がありました。
結局、12人が成約となり売上約15億円、粗利益約4億円の実績を田中君は上げることができたのでした。
成約が取れたのは9月1件、10月6件、11月5件、実際の粗利益が発生するのは翌年4月以降ということになりました。
ちなみに、田中君は成約件数、売上、利益とも営業10人中トップ。他の営業マンは2番の人が成約8件、平均的には5件の成約という状況で、田中君はダントツトップの成績だったわけです。
 


 
トップ建設の評価に関する決まりごとが評価期間4~9月、10月~翌3月評価項目売上、粗利益だけだったとしたらどうでしょう?
4~9月、10~翌3月の田中君の評価は最悪の評価結果となってしまいます。当然、みなさんだったら4~9月までの田中君の行動面に対しても高く評価されることでしょう。極端な例ですが、結果の数値や業績のみで評価をして行くとこのような矛盾も出てきてしまいます。
 
田中君を正しく評価するためには企画力や提案力、提案に必要な知識も相当高いものがなければこれだけの顧客を納得させることはできなかったでしょう。このような田中君の仕事振りを評価するためには業績以外の評価項目でしか評価できません。
 
業績を出すために必要な成果や能力とはなにか、これを機会に具体的に考えてみてはいかがでしょうか。

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